タイトル | 食の軍師 |
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原作・漫画 | 泉昌之・久住昌之・和泉晴紀 |
出版社 | 日本文芸社 |
食は戦なり! 食うは我なり!
制するは計なり!
舌鼓をうつ魅惑の料理を前に、
己が戦略と計略を巡らせる。
卓に並ぶ食を制するが「食の軍師」
の異名を持つ(自称)男、
本郷播(ほんごう・ばん)。
今日も己が胃を満たす為に、
完璧な計略を巡らせる。
食を演じる男の孤独なる戦いが、
今日も男の卓を熱くする。
食の軍師あらすじ紹介
さる街の飲食店街の外れに、知る人ぞ知る、
おでん屋を営む屋台があった。
今時珍しく提灯の灯りで客を呼び込み、
ダシの味の染みた上手いおでんを出す屋台。
気持ちを浮かせながら、
小走りでその屋台へと向かう男の姿があった。
トレンチコートに帽子姿。
ハードボイルドな出で立ちを決めるも、
中身は三枚目な男──本郷播は、
食の軍師を自称する、
食事にこだわりを持つ人物だった。
嫌な仕事を終え、昼飯は軽め。
夕食のおでんを楽しむためにと、
そのおでん屋へと足早に向かう本郷。
だが彼の前に、
ぬうっとしたフード付きパーカー姿の
青年が行く手を遮る。
今晩は、親父さん……と、
顔見知りな雰囲気を漂わせ、席に座る青年。
ワンカップ酒を飲む姿に、
大根とコンニャクとごぼう天を注文。
本郷は青年がデキルと驚愕する。
おでん……注文する具材の配置が
全てを決める卓に、
今、熱き火の手が上がろうとしていた!
食の軍師ネタバレ・今後の展開
食事をする事に深いこだわりを持つ
主人公「本郷播 (ほんごう・ばん)」を
主役にした今作「食の軍師」
……おでんを食べる為にお気に入りの
屋台に入ったのはいいですが…
そこには終生のライバルとなる
(と、勝手に思い込んでしまっている)、
本郷の理想像である食事を
そつなくこなす力石馨 (りきいし・かおる)。
おでん屋に慣れた雰囲気で入り込み、
大根にコンニャクとごぼてう天を
慣れたように注文する力石。
おでん屋において、それを注文するとはと、
本郷は驚愕してしまう。
大根はダシ等の味を染み込ませ、
おでん屋の看板とも言える食材。
コンニャクはお客に
出来栄えの歯ごたえを試させる。
ごぼう天は練り物と
ごぼうの味を両方楽しめる。
おでん屋に着たらまずは最初に注文する食材を、
あっさりと注文する力石に、
本郷は戦慄を覚えてしまいます。
丸・三角・四角とおでんの陣形を見事に成した
力石に反撃するかのように、
本郷も注文をします。
はんぺん。
玉子。
ちくわぶ。
と、おでんのもう一つの
看板メニューを注文する本郷。
味の染みたはんぺんは絶妙の味で、染み込まず、
染み込ませずな味具合に舌鼓をうちます。
そしておでんの金塊と例える
「玉子」を口に入れ、
ダシの味が染み込んだ。
ちくわぶにからしを付け、
見事に切り返したと思いきや、
力石は次なる食材をチョイスします。
はたして、おでんを巡る二人の
攻防の行方は如何に……
食の軍師読んでみた感想・評価
食事をする事に深いこだわりを持つ主人公に、
とことんと食事に全力で挑む。
男の姿が真面目であるも、
笑いを誘ってしまう。
そして何よりも見ていると
それが食べたくなってしまう。
味に伝わる内容の漫画ジャンルである
「食事漫画」の中で、一際に異彩を放つのが、
この「食の軍師」です。
作者は、あの「かっこいいスキヤキ」で
著名を馳せる、泉昌之先生。
この作品は「世にも奇妙な物語」でも
ドラマ化されたこともあります。
食事を通して繰り広げられる、
食に対して真正面から真剣に向き合う
男の食事の仕方が、コミカルかつシリアスに
描かれている事に定評があります。
食事を戦と例え、あの三国志を
彷彿させるかのような、
自身を「食」イコール「蜀」と例えます。
諸葛公明みたく軍師ばりに、
食事への計略と戦略を巡らせる。
そんな主人公の独り相撲が笑いを誘うも、
その真剣さに思わず
息を飲んでしまいそうになってしまう。
その食事に対するあまりにもな真剣さが、
読者を物語へと引き込んでくれます。
食事にそこまで真剣になれるのかと、
食へのこだわりが徹底的に書きこまれ、
詰め込まれた今作。
食事と言っても簡単ではなく、
ただ食べるのではなく、
味わって、上手さをかみしめる。
食事を心底楽しむ、
そのこだわりに深い共感が持てます。
そのこだわりゆえに、
こだわりが先行してしまう。
完敗してしまうも、腹は満たされ、
食を満足させてくれる内容。
読み終えた後に、何かが食べてみたいと、
空腹を誘ってくれる作品でもあります。
食事前に読むことをおススメできる、
そんな作品です。
笑いと空腹を誘うグルメ漫画
食事を挑む前の人に、
そして何を食べようかと悩んでいる時に、
食べたいものを教えてくれる漫画が、
今回紹介する「食の軍師」です。
食事前に頭を悩ませている時に、
この作品を読んでみましょう。
何気に見た内容にお腹が鳴ってしまうと、
読者の笑いと空腹を誘ってくれます。
また食事をする前に、
美味しく食べられる食事の仕方も
何気に教えてくれているのが、
今作の魅力の一つ。
弁当にしかり、おでんにしかり。
まずに食べるべきものは何かと、
味を乗せて伝える内容は、
読者の空腹と舌を刺激します。
食事前の導ともなり、
食事の迷いをはらってくれる。
そんな内容に加え、食べる事に深いこだわりを持つ、
食への考え方も教えてくれる
作品ともなっています。
食事をする前に、食事をする時に、
まずはどうするべきなのかと、
食べ方や味を教えてくれる漫画。
「食事漫画」と主人公が、料理や飯を食べる。
その姿がグルメ漫画の一つの
ジャンルを創り出しています。
ただ料理をするのではなく、
味を楽しむ、食道楽を追求しています。
その中でも、食事とは戦であると、
その戦の勝利へと導くために
戦略と計略を纏める。
時にはこけてしまうも、
満足に食事を終える事ができると、
食に深いこだわりを感じられる。