タイトル | 魔太郎がくる!! |
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原作・漫画 | 藤子不二雄A |
出版社 | 秋田書店「少年チャンピオン」連載 |
筋金入りのいじめられっ子
浦見魔太郎は、
前の中学での
いじめから逃れるように、
両親に連れられて、
友愛学園中等部に
転校することとなった。
しかし、友情・愛情が
モットーの学園に
期待する両親の思いも虚しく、
すぐに
恰好のいじめの餌食・対象となる。
だが魔太郎の真の本性は、
黒魔術を自在に操る、
冷酷無比な、
復讐の鬼、悪魔なのであった。
魔太郎がくる!!のあらすじ紹介
留まることのない
いじめに耐え、
学園では常に
大人しく振る舞う魔太郎に、
マドンナ南由紀子だけは
正義感からそれを注意する。
魔太郎にとっては
女神の存在となる。
エスカレートし続ける
いじめが我慢の限界に達したとき
魔太郎の口から
アノ決め台詞が発せられる。
「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・
ハ・ラ・サ・デ・
オ・ク・ベ・キ・カ」。
魔太郎のこの「最後の」言葉で、
無事に済むものなどいない。
あらん限りの
魔太郎のうらみ返しの、
残酷な仕打ちと、
悪魔の子かと思わんばかりの、
圧倒的な黒魔術の呪術で、
彼らは闇から闇へと葬られていく。
魔太郎がくる!!のネタバレと今後の展開は?
魔太郎の初期の復讐方法は、
物理的な残酷さが目立つが、
回を追うごとに
呪術的なやり方で
ミステリアスな手法へと
変化していく。
象徴的なのは
「ブラックマジック・闇一色」という
相手を失明に追い込む究極の黒魔術で、
以後も登場が期待されたが
この1回きりである。
のちには「うらみ念法」の名のもとに
魔太郎の持つ魔力が強調される。
初回語られた
「サターン!あなたの
むすこであるわたしが」という
意味深な言葉は
最後まで伏線のまま物語は進む。
中盤以降登場する怪奇屋
(怪奇グッズの販売の他、
色々魔太郎に便宜を図る)の
おじさんや、
中盤以降、準レギュラーとなり、
物語に頻出する3歳の、
天使のような赤ちゃん、
という設定の「切人」など、
個性の強い登場人物も
続々登場し円熟期に入る。
そして宿敵・切人とは
決着らしい決着はつかないままに、
最後まで続く。
当時連載の少年チャンピオンでは、
魔太郎の恨みの晴らし方の残酷さや、
復讐に至る理由の利己的さに
納得いかないなどの投書も多かった。
現在では
初出のままのコマで読めるものは少なく
かなりの回数の多くのシーンや背後関係、
セリフなどが大幅に改変された、
幻的な作品となった。
魔太郎がくる!!の読んでみた感想・評価
連載当時に
毎週読んでいました。
まだ小学生でしたが、
これほどの過激さと残酷さは、
今であれば良くても
U13とか、下手すれば
発行停止になるんじゃないかと思うくらい
衝撃的なエピソードばかりです。
工事現場のコンクリートの中に、
人間を放り込んで抹殺したり、
ゴミ捨て場で、
ゴミ袋に体ごと入るよう騙し打ちして、
そのままガムテープで上を縛り、
完全な呼吸麻痺に追い込んで
抹殺するなど、
現代のマンガで
発行しようと思ったら、
まず編集段階で
アウトになりそうな、
マゾヒスト垂涎の
スプラッター的要素も満載です。
初期の作品に、
マドンナ由紀子さんに
下半身丸出しして見せつけろ、
といういじめが出て来まして、
これは脳裏から離れないです。
友達になれそうな人物を
メモした黒い手帖があり
この小道具には当時憧れました。
この手帳の中身を
執拗に知りたがる
金持ちの御曹司・猿彦との
際どいやり取り。
そして徹頭徹尾、魔太郎一家を
バカにする言動と態度。
これには感情移入しまして、
「やっちまえ」と思ったものでした。
中期以後、魔太郎が
黒魔術の魔力を奮う作風が、
味わいを徐々に変えていった
記憶があります。
たまに腑に落ちない
終わり方があるのですが、
いじめが理不尽であればある程、
復讐のカタルシスは
半端なく気持ちの良い
終わり方をしていました。
魔太郎の風貌がいかにも弱弱しい
いじめられっ子を体現しているので、
最後に放つ「黒魔術」での
魔力攻撃による敵討ちが好きでした。
「薔薇」の柄のシャツというのも
時代を超えて個性的で、
魔太郎のキャラなら
今再版しても
読者は着くんじゃないかと
思いうくらいです。
魔太郎がくる!!はこんな方におすすめな作品!必見
「復讐」とか、
やられたらやり返す、
というのが好きだったら
きっと面白く
感じるんじゃないかと思います。
「恨み屋本舗」とか「殺し屋麺吉」などを
愛読する方には
多分伝わるものと思います。
同じ藤子不二雄系ですが、
「笑ゥセールスマン」なんかも
テイストはよく似ている感じです。
最近「魔法モノ」と言うと、
可愛いものが
大勢を占めているので
そういう系統ではなく、
どこか常識離れしていて、
あるはずもない
荒唐無稽なマンガが好きな人に
向いていると思います。
あの頃(ほぼ45年以上前)に
少チャンを購読していた
年齢層を考えると、
大体若くて50過ぎから
還暦くらいの年の方には、
この画風は合うでしょう。
現代っ子には絵面が古めかしくて
キツイように思います。
「がきデカ」よりも
さらに古い世代であり、
魔太郎とは
また異質な作品ではありますが、
ナンセンスさと
ブラックユーモアの頂点でもある
「ダメおやじ」の、
ごく初期の作風にも
共通する感覚があるので、
古谷正敏さんのマンガが
好きな人には、
肌が合うんじゃないかとも思いますね。
時代感覚でいうと、
「ローティーンブルース」や
「嵐三匹」などが
少年誌を賑わしていた頃に
マンガ好きだった人なら、
まず間違いないと思います。