残酷な神が支配するのネタバレとあらすじ！試し読みや感想もあり！

主人公はジェルミという美少年、
そしてその義兄イアンの二人。

また、個性豊かで、
この世界のどこかにでもいそうな気がする…
さまざまな登場人物が多数登場する。

この自然でいて複雑な人間関係のからみの
多彩さが物語を多色で肉厚にする、
萩尾望都のさすがの手腕が光る作品。

「第1回手塚治虫文化優秀賞」を
1997年受賞した作品だが、
そのテーマは今読んでもまったく古くない。

【イグアナの娘のネタバレ】とあらすじ！感想や無料試し読みあり！

残酷な神が支配するのあらすじ紹介

美少年・ジェルミは美人な母親サンドラと
二人暮らしで平凡に暮らしていた。

父親は幼くして亡くしてしまったが、
ちょっと頼りないサンドラと
支え合って生きていた。

そこへ、サンドラに二度目の春がやってきた

グレッグ・ローランドと名乗る
イギリス紳士と結婚することになったのだ。

だがしかし、その男は
ジェルミと体の関係を持とうとする。

そこからジェルミの人生は一変する……。

イアンはジェルミの苦しみを知らず、
青春を満喫していた。

ある日、サンドラとグレッグは
車で二人で出かける。

ところが、その車は炎上、二人は死亡する。

それはジェルミが仕組んだものだったが、
サンドラまでが死んでしまうとは
計算外のことだった。

ジェルミは悲しみに暮れ、
自暴自棄になる。

この漫画で象徴的なのはグレッグの亡霊、
もとい、
ジェルミに付きまとう自責と理性の戦い。

不安定な精神のジェルミを
イアンはなんとか助けようとするが、
それには何が必要なのか…。

萩尾望都が描く漫画の
髄の表現力は誰もまねできない。
この作品は特に必見である。

残酷な神が支配するのネタバレと今後の展開は？

サンドラと結婚したはずのグレッグは
「罰だ」「愛だ」とジェルミを抱く。

それに耐えられなくなったジェルミは
グレッグを殺す算段を立てるが
最愛のサンドラまでも失ってしまう。

自暴自棄になったジェルミを
義兄のイアンは救おうと
いつしか恋人のような関係になっていく。

しかしジェルミは簡単には
イアンの愛を信じない。

サンドラとグレッグが死亡した、
車炎上の事故すら車メーカーの過失となる。

ジェルミは自分の過去すら信じられなくなり
グレッグの亡霊の影が濃くなっていく。

それは幻でありながら、
ジェルミの傷に感化されてきたイアンすらも
巻き込んでいく。

しかしイアンはジェルミの傷は、
グレッグの傷でもあること…

ジェルミの人生の狂いは、
いつしかくるってしまったグレッグの人生の
影響下にあったことを知る。

一方ジェルミは、自分が犯した母を殺した
という事実を受け入れた。

同時に母に見捨てられた事実も受け入れ、
サンドラの墓に来ていた。

そこでサンドラの幻はジェルミにキスをする

イアンとジェルミは恋人のような関係を解消

一人の人として、
兄弟として暮らすようになった。

だが、事件が起きた時期に近づくと、
また二人でその過去を現実として、
忘却しないための作業のように抱き合う…。

残酷な神が支配するの読んでみた感想・評価

一言で分かりやすくいうと、重い作品です。

簡単には読み切ることは難しく、
読者に体力と想像力と記憶力を必要とさせる
いわばレベルの高い作品といえます。

私は全館読み通して、
軽いうつ状態になったほどでした。

それはちょうどこの作品の主人公の
一人であるジェルミが、事件の時期になると
危うい精神状態になるのと似た感じです。

読者がこの作品に思いはせることで
追体験してしまうほど
強力な引力を持った読後感でした。

ラストのコマは、ぱっと見はさわやかで、
広々とした感じに見える絵になっています。

ですが、ここにたどり着くまでの
ジェルミとイアン…

何度も何度も苦しみ、悲しみ、悔しさや、
切なさそしてやりきれなさを抱え…

それを飲み込んできたのかと思うと、
気が遠くなる思いです。

萩尾望都作品は軽い作品と重い作品の幅が
とても広いです。

とても一人の人間が描いたと思えないような
漫画の数を誇っています。

中でもこの「残酷な神が支配する」…

到底、実写化も、アニメ化すらも
不可能な完全なる漫画作品として
完成されていると私は思いました。

残酷な神が支配するはこんな方におすすめな作品！必見

どんな方にも読んで欲しいところですが、
テーマが重すぎるため…

精神の不安定な人や、移ろいやすい人には
オススメしないほうが良いかもしれません。

でも読んでほしい！読んでみたい！
という方には、
「トーマの心臓」を紹介します。

「トーマの心臓」というしびれるような
かっこいいタイトルは聞いたことがある方も
多いでしょうが、同じく萩尾望都の作品です

こちらは発表年代が古く、
絵も多少古びてはいます。

しかし、いまでもファンが多い作品の
一つといえるでしょう。

BL、女性向け漫画で活躍中の
中村明日美子にも影響を与えた作品です。

こちらの作品は根底は同テーマといえる
重いものを扱っております。

ですが、単行本で全3巻と
とても読みやすくなっています。

また、もともと低年齢層が購入する
少女コミックでの連載となっているため、
分かりやすいです。

わかりやすい、とはいいますが、
そのテーマを本当の意味で理解するには
簡単にはいかないかもしれません。

そう思った時、「残酷な神が支配する」を
読んでみてはいかがかと思います。

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