タイトル | コンビニお嬢さま |
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原作・漫画 | 松本明澄 |
出版社 | 講談社 |
良家のお嬢様がコンビニで買い食い。
そしていつものあのメニューを、
一手間加える発想力で大変身。
原料は高くなく、
そして煩雑でもありません。
ギャップ感をうまく活かした、
作品構成とキャラ、そして
アレンジの妙味がうれしい、
新感覚グルメ漫画です。
コンビニお嬢さまのあらすじ紹介
文武両道かつ容姿端麗、家柄も良く、
周囲から憧れられる兎月 翠里。
しかし彼女は幼少時から、
厳しいしつけを受け続けた反動で、
買い食いにハマっています。
彼女がフィールドとしているのは、
普通のコンビニ。ローテーションで
行く店を変えているほど周到ですが、
その日に限っては同じ学校の生徒が
どの店にもたくさんいました。
コンビニにあるキャラくじが
その原因だと察した翡里は、
万札を使って「遠征」し、
遠方の店まで行ってゲットした
アメリカンドッグを、
彼女流に大胆にアレンジします。
コンビニお嬢さまのネタバレと今後の展開は?
良家のお嬢様として高校でも有名な、
兎月 翠里。
彼女は家柄だけでなく、文武両道で
容姿も淡麗で性格も良く、
周囲からは憧れの存在でしたが、
厳しく育てられた分、好奇心旺盛で、
育ち盛りで食欲も旺盛だったため、
禁止されている買い食いを始めます。
近所の色々なコンビニを巡ったりと、
かなり「常習」な感じです。
コンビニに入った翠里は本領を発揮。
スカーフを泥棒チックに巻きつけて、
狙いの物品を調達します。
コンビニオリジナルの新商品もと、
思いかけたところに肉まんを発見。
急いで家に帰ろうとしました。
しかし、そんな時に友達と鉢合わせ。
バレないようにする必要から、
ゆっくり帰ることになってしまい、
せっかくの肉まんが冷めてしまいます。
しかし、料理もお手の物である翠里は
野菜を切り煮汁を用意しとろみを付け、
肉まんにごま油を塗って炙っていって
仕上げた肉まんにあんをかけて、
巨大な小龍包のように仕上げていき、
とてもおいしく完食するのでした。
コンビニお嬢さまの読んでみた感想・評価
良くコンビニを利用する身なので、
タイトルを見た段階で、
ピンとくるものがありましたが、
実際に読んでみると、
予想を上回る満足度がありました。
いわゆる「コンビニあるある」で終わらず、
少し一手間加えてよりグルメにしたりと、
「料理」としての満足感が高い方向へ、
持っていっているのがいいですね。
翠里はお嬢様ということですが、
料理をしている時や食べている時も、
その基本からブレることがなく、
好奇心旺盛ながらも常に上品で、
それでいて人に悪意を持たない、
「完璧な良家のお嬢様」で
有り続けているのも良かったです。
また、こうした作品で問われるのは、
おいしい料理を食べた時の反応ですが、
そこにおいてもオーバーにならず、
また下品にもなっていないため、
かえって食欲が刺激されました。
やはり、おいしいものを食べる、
あるいは食べる気になっている時は
いい気分でいたいもの。
「動き」を常に求められるのが
物語なのですが、その原則を
丁寧に守っているのが嬉しいです。
特に、少し時間がある時などは、
コンビニに行く前に読んで、
「想像」を広げたいとも思いました。
コンビニお嬢さまはこんな方におすすめな作品!必見
コンビニお嬢様 レビュー
関係各社間での激しい競争はあるものの、
全体として近年ますますコンビニが、
市民の需要を満たしているのは確かです。
多くの方が、普段の食事や日用品まで
コンビニ頼みになっているはずです。
しかし、新商品も多いとは言え
毎日コンビニ続きでは、
どうしても飽きてしまうというもの。
そんな中、コンビニの定番商品に、
一手間加えてぐっと美味しさと
新鮮さを増させるという試みを
続けているのが本作です。
決して手を加え過ぎることなく、
かと言って無造作すぎてもいない、
多くのグルメ漫画がある中で、
このバランス感覚は絶妙ですし、
また、コンビニに通い詰めの方の
レパートリー増と、自炊派の方の
省力化を同時に提案しているのが
非常に面白く実用的なところでしょう。
また、純粋に読み物として見ても、
翠里のお嬢様的な物腰の良さと、
少女的な好奇心旺盛さのバランスが
読み手に好感をもたらしています。
コンビニの料理が主体ということで、
真新しさは少ない部分もありますが、
抜群のうまさを感じる一作と言えます。