タイトル | まほろ駅前多田便利軒 |
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原作・漫画 | 三浦しをん 山田ユギ |
出版社 | 白泉社 |
東京のまほろ市の駅前で
便利屋を営む男がいた。
ある日、高校の同級生に再会する。
高校の頃とは別人のその男には
帰る場所がなかった。
一緒に生活することになり
便利屋の仕事も慌ただしいものへと
変わっていく。
笑いあり感動ありの
故郷を思い出すヒューマンドラマ!
まほろ駅前多田便利軒のあらすじ紹介
便利屋の多田は
チワワを預かることになった。
小型犬は嫌いだったが仕事のため、
仕方なく引き受ける。
次の依頼はバスの監視で
犬を連れて仕事をこなした。
帰ろうとしたとき
犬がいないことに気づいたが
ベンチに座った男に抱えられていた。
その男は、まほろ高校の同級生
行天春彦だった。
無口で話したこともなかった。
工芸の時間にふざけていた
生徒のせいで小指が切れた。
「痛い」とひとことだけ言い、
切れた自分の指を淡々と
拾いあげるような人だった。
まほろ駅前多田便利軒のネタバレと今後の展開は?
荷物も持たずにサンダルで
まほろ市に居た行天に
嫌な予感がしていた。
無口だったのに
普通に話せるようになっていて
事務所に泊めてほしいと言い出す。
あの時の小指は早急な処置のおかげで
くっついていた。
もう痛くもなんともないと言う
行天の嘘も分かっていたが
戸惑ってしまう。
駅まで送り、別れたあとに追いかけて
一晩だけ泊めることにすると
お人好しだと言われてしまう。
追いかけてくれると思い
試していただけだった。
2人とも結婚していたが今は独り身。
行天は帰る場所がなかったのだ。
チワワを返しに行ったが
依頼主は夜逃げしていた。
引っ越し先まで行き、依頼主の娘に
新しい飼い主を探してと頼まれた。
クタクタになった2人は
生まれ育ったまほろ市に帰っていった。
それからというもの
行天は2ヶ月以上居座っていた。
あまり役に立たないが
仕事の手伝いをしてくれているので
給料も渡していた。
チワワの飼い主探しは
思うように進まなかったが
なんとか決まった。
これからも行天との生活は続いていく。
まほろ駅前多田便利軒の読んでみた感想・評価
行天の行動には驚きの連続でした。
話もしないし表情も全く変えない
高校生がいたら不気味さを
感じてしまいそうです。
友達も作らず、ただ義務だから
学校に来ているという様子でした。
口を開くのが面倒だったとはいえ
誰とも会話しないのは
逆に難しそうなので
ある意味凄いなと思いました。
指が切れたときも「痛い」とだけ
言って自分の指を拾うのは
冷静を通り越して怖かったです。
成長した行天は話すようになり
表情も少し柔らかくなっていました。
高校卒業後の生活と他者との
関わりの中で学んだことも
あるようでほっとしました。
行天はどこか寂しげな表情をしていて
帰る場所もないようなので心配です。
目を離せば、ふらっとどこかへ消えて
二度と戻ってこなくなるような
不安を抱きました。
ところどころ不思議な
常識が無いともいえる行動に
振りまわされる多田もなんだかんだ
優しい人で良かったです。
犬の新しい飼い主を探したり
慌ただしい毎日を送ったあと
2人同じ場所に帰るシーンに
感動しました。
まほろ駅前多田便利軒はこんな方におすすめな作品!必見
三浦しをん原作の小説を
山田ユギが漫画にした本作。
原作のファンの方には
小説で膨らんだイメージ通りの
絵になっているかな?など。
山田先生のファンの方には
原作ありの作品だけど
先生らしさが出ているかな?など。
そういう楽しみ方もできて
お互いの作者を知る良いきっかけに
なると思います。
私は原作を知らず、山田先生の作品も
読んだことはありませんが
問題なく楽しめました。
便利屋という職業も珍しく、
興味を惹かれやすい設定です。
お仕事漫画ではありませんが
十分満足できる内容です。
帰る場所、帰れる場所があることが
当たり前のようで当たり前ではない
ことに気づかされます。
自分の帰りを温かく迎えてくれる家族や
恋人、友人などそれぞれ大切な人が
思い浮かんでくると思います。
便利屋に舞い込む、
何ら不思議ではない依頼も
この2人にかかれば
一筋縄ではいきません。
登場人物に振りまわされ、笑いながらも
生まれ育ったふるさとを思い出して
しんみりした気分に浸れる作品です。