タイトル | センゴク |
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原作・漫画 | 宮下英樹 |
出版社 | 講談社 |
あらゆる野心が渦巻く
戦国の世を舞台に、
今までにないほどリアルで、
考証的にも正確な描写が
生々しい描写で展開される。
仙石 秀久を主人公にした
他の作品とはまた違う、
精密な動きが楽しめる、
本格派の熱血戦国漫画です。
センゴクのあらすじ紹介
斎藤家所属の武士として、
槍働きをしようとしていたセンゴク。
しかし、まだこれからというところで、
織田家の侵略を受け、斎藤家は
大名として滅びることに。
センゴクは、絶望的な状況の中、
織田家を恐れさせる活躍を見せ、
囚われた後も意地を見せたことで、
織田家の家臣としての人生を
歩んでいくことになりました。
直属の上司になった秀吉を始め、
クセの強い人材が多い織田家ですが、
センゴクは持ち前の武勇と勇気で
自らの将来を切り開いていくのでした。
センゴクのネタバレと今後の展開は?
桶狭間の戦いから時が経ち、
勢いを増す織田家は、
ついに宿敵斎藤家の本拠、
稲葉山城を落としにかかりました。
絶望的な状況の中、混乱が支配する城で、
若武者であるセンゴクは、
戦場のリアルを経験していました。
個人の腕力も刀の腕も
大勢には影響なく、
弓矢が容赦なく命を奪っていく。
その道理を説いた大先輩、
川爺までもが敵の矢に倒れる中、
センゴクは昔から好きだったお蝶と、
再会の約束を交わして戦場に出ます。
誰も連れずに一騎で戦場を駆け、
しかも馬上で槍を振るうという
常識外の立ち回りながらも、
その奮戦ぶりは織田家の兵たちを
大いに恐れさせていきますが、
結局は敵に囚われてしまいます。
センゴクは信長の前に引き立てられ、
信長の呼称である堀と、
一対一の勝負をすることに。
甲冑姿の堀に対して
センゴクは素肌で手負い、
圧倒的に差がある状況でしたが、
センゴクは折れた自らの刀を使い、
相手の脚を斬る奇策に出て、
堀を組み敷くことに成功します。
途中で横槍が入ったものの、
その武勇を見せた上に、
正直な思いを伝えたセンゴクは、
信長に、秀吉の下について働けと
命じられるのでした。
センゴクの読んでみた感想・評価
久々に胸が熱くなるものを感じた
戦国時代漫画でした。
とにかくドラマティックな事が多い
戦国ものというのは、既にあらゆる
名作が世に出ていて、
読み手としては正直、満腹的な
気持ちにさせられていました。
誰が主人公でもすることが同じ、
とは言い過ぎですが、
何度となく歴史の大枠を
作品で追体験していると、
アレンジの妙味ぐらいしか、
楽しみに感じられる点が
少なくなってくるのです。
しかし本作は、仙石という
大名クラスの武将を題材に、
徹底的にディテールにこだわり、
動きや描写の部分に
新機軸を生み出すことに
成功していきます。
時代劇の動きの中に、新たな
「何か」を導入するのは
想像以上に難しい作業で、
そのせめぎ合いを描いた
名監督による映画があるほどですが、
本作は徹底的にリアルに即しており、
「真実」から動きを外さずに
新たな構図を作り出すという
スゴさがあります。
そのためかセンゴクをはじめとする
登場人物たちのイキイキ感も
他の作品とはまた違うものがあり、
本作によって戦国漫画や時代劇は
新たな「武器」を手にしたとすら
言える有意義さがあります。
キャラ、演出、構成ともに一流ですが、
根本的な知識の深さからくる迫力こそ、
本作の真髄ではないかと思いますね。
センゴクはこんな方におすすめな作品!必見
リアルな歴史と歴史小説、時代劇は違う、
史実ではこんな形にはなっていない、
脚色が行き過ぎている……、
「歴史」を題材にした作品を書くとき、
問題になってくるのがこうした
「ギャップ問題」とでも言うべきものです。
しかし、実際にその時代を見たわけでなく、
史実とされる記録がすべて正しいという
結論にもなりにくいので、
どうしても水掛け論になりがちです。
しかし本作は、娯楽作品としての
しっかりした枠を保ちながらも、
騎馬兵や弓兵の扱い等々、
当時の資料に基づいて
徹底的にリアルさを追求しています。
だからこそ他の作品とはまた違う
動きや迫力が展開されていきますし、
その臨場感にしても、
かつてない何かを紙面から
感じることもできます。
仙石という、マイナーな武将ながら
長期にわたる連載と、
非常に多くの支持が得られたのは
このディテールによるところが
非常に大きいと言えますが、
とても明快なセンゴクの性格や
信長たちの異様な存在感など、
キャラクターものとしても
強烈なインパクトがありました。
考証的に正しく、しかも
面白い作品を読みたい方には
非常に適した一作だと思います。