タイトル | 超可動ガール1/6 |
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原作・漫画 | OYSTER |
出版社 | 双葉社 |
ある日突然あらわれた「押しかけ女房」。
突如「旦那」となってしまった「彼」は
そんな「彼女」に振り回されっぱなし!
どこのマンガにもいそうな
バカップルの二人。
しかし、ちょっと違っていたのは、
「彼女」は「美少女フィギュア」
だったのでした……。
残念な社会人オタクとやかましくも
純情な可動フィギュアが繰り広げる、
オタク的夫婦生活ギャグコミック。
超可動ガール1/6のあらすじ紹介
房伊田春人はフリーランスの
在宅プログラマー。
現実世界の女子に全く興味をもたず、
アニメと美少女フィギュアが「命」の
オタク社会人。
自宅には数多くの美少女フィギュアが
並んでいました。
しかし、今回手に取ったものは
違っていたのです。
数ある作品の中でもお気に入りのキャラ、
少女型惑星探査機九号、通称「ノーナ」。
ショップで見かけるや思わず
買ってしまったものでした。
早速開封し、至福のときを過ごしていた
春人の目の前で、「ノーナ」は
自分で動き出し、攻撃をしかけてきます。
最初は可動式フィギュアだと自分を
納得させていた春人ですが、
言葉を喋り、ミサイルを放ってくる
「ノーナ」をこのままにはしてはおけない、
何より自分の身が危ない。
ノーナはアニメの作品そのままに、
知的生命体を求めて「地球」から
やってきた「来訪者」であり、
数ある同タイプの中の一つであると
語ります。
春人をはじめ、今何が起きているのかを
尋ねてきます。
当のノーナも自分の状況を
把握しかねていたのです。
この作品のマニアを自称する春人は、
最終回直前エピソードに出てきた「巨人」を
利用することを思いつきます。
エピソードに出てきた巨人と知り合いで、
この星の学者であると名乗り、
何とかノーナを納得させることに成功させます。
とりあえず行く当てもないので
春人の部屋に居候させてもらう
ことになります。
テレビなどから急速に知識を吸収していった
ノーナ、さらに現れた可動フィギュア
「相棒ロボット・オズマ」が出した
分析を立ち聞きし、ここはアニメ世界とは
違うということ、リアルな現代地球で
あること、原因はわからないものの、
自分が美少女フィギュアで
しかないことを認識します。
そして、春人がいかに作品を、ノーナを
愛している(愛でている)
ことも知ります。
そこでノーナは思い切った行動に出ます。
春人に婚姻届け
(パッケージのおまけ)への
サインを強引に迫ってきます。
つまりは、「美少女フィギュア」が
現実(リアル)の「男」の妻になる、と。
当然困惑し、逃げまどっていた
春人でしたが、やがてノーナの
心情を理解して
(疑似)夫婦生活を
送るようになります。
フィギュアと人間の夫婦生活の前に、
「壊し屋」の妹や同じく
可動フィギュアである「ベルノア」
といった様々なキャラが登場して、
ただでさえ常識外れの生活はますます
混沌の様相を示していきますが……。
超可動ガール1/6のネタバレと今後の展開は?
話が進むにしたがって、動き出す
フィギュア少女が次々に登場してきます。
それらの少女たちに連れられて、春人は
現実世界から逆に彼女たちが生きてきた
アニメ世界やゲーム世界に
迷い込むことになります。
そこでも春人はオタク知識を全開させ、
無難に難局を切り抜けていきます。
そのようなやりとりのなかで、他の
フィギュア少女たちが春人に抱く感情…。
それがノーナには面白くない。
彼女たちはノーナにとっては、愛しの
旦那様をたぶらかすライバルにしかならず、
春人をかけて勝負(ゲーム勝負とか)を
挑むことになります。
もっともそれらの動きにも変化が
現れます。
それは、その中の一人
(一体)である「もう一人のノーナ」、
「ノーナ・イコール」と出会ってから。
彼女の存在が物語の結末に
大きく関与してきます。
何故、ノーナが現実世界に迷い込んだのか、
また春人がこの作品への思い入れが
とても強いこと、そして本来のアニメ作品の
結末が春人にとって不本意なところが
あったことが、数々の「超可動ガール」を
登場させる要因に関連してきます。
超可動ガール1/6の読んでみた感想・評価
「フィギュアが突如可動して、
人間世界で生活するようになる」
作品は意外に多く、ネタとしては
そう珍しいものではありませんが、
ギャグとしてちゃんと成立している
この作品はまた別格なのかな、
とも思いました。
たいていは流れがバトルメインへと
シフトしていきますが
(この作品もバトルが何気に出てきますが)
それでメインテーマみたいなものを
隠してしまう、曇らせてしまうことも
しばしば。
しかし、この作品はきっちりと
「夫婦漫才」と(疑似的ですが)
「夫婦愛」みたいなものへと
導いているので、好感がもてます。
むやみにシリアスすぎず、ノーナと
春人の「ボケ・突っ込み」が
随所にちりばめられ、なかなか
面白かったです
(特に「フィギュア娘のいる日常」の
ラーメンエピソードは秀逸だと思います)。
また、オタクに関する生態(?)も
作者さんはよく認識していると思います。
好きな作品に対する思い入れが
作品エピソードに絡み、やがて
最終回へと繋がっていくところは
「お見事」としかいいようがありません。
超可動ガール1/6はこんな方におすすめな作品!必見
会社や学校で現実社会と
「戦っている」人たちにとって、
一時の清涼剤となると思います。
「バトルもの」を期待する人には
残念な作品ですが、ラブコメ全般が
大好きで、オタクの生態に関して
理解がある(もしくは自身も同じような
生活をおくっている)人には
面白いのではないでしょうか。
作中では「オタク」「キモイ」が
連呼されたりしますが、意外と
マイルドなオタクなので安心して
みることができます。
フィギュアではありませんが、
「クロックワークプラネット」
( 原作: 榎宮祐・暇奈椿
キャラクター原案:茨乃 作画:クロ
講談社・少年シリウス)とかにノリは
近いような気もします。
この作品のバトル要素を少なくして、
ツンデレ要素を多少変化させ、
夫婦漫才要素をマイルドにした、
といった感じが近いのでは?
「押しかけ女房」という要素では、
もはや伝説的作品である高橋留美子
「うる星やつら」がありますが、
なかなかラムに対する態度を
はっきりさせないあたるに
イライラしていた(私の)ような人
(いわゆるヒロイン推し)の人には、
スッキリしていて読みやすいと思います。