タイトル | スーパーヅガンアダルト |
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原作・漫画 | 片山まさゆき |
出版社 | 竹書房 |
相変わらず冴えない日々を送っていた
豊臣ですが、自分がバイトとして
働いている会社の中で、半ば
イジメのような麻雀が
行われているのを見逃せず、
女子社員ミルミルに対して
助言を出したものの……。
独特の雰囲気が楽しい麻雀コメディ作品です。
スーパーヅガンアダルトのあらすじ紹介
社会人になってもバイトとして冴えない
毎日を送る豊臣君は、麻雀の強い
上司が弱い部下を狙い打ちにしていく
という悪習を知っていました。
そこで、会社が終わった後の
麻雀の場で、特に集中的に的に
されていた女子社員、ミルミルに
それとなく助言を出して倍満を
上がらせることに成功します。
豊臣君の麻雀知識の確かさに
感激したミルミルは、さらなる助けを
豊臣君に求めます。
断り切れない豊臣君は、
やむなく日課となっている
勝負の場に赴きますが……
スーパーヅガンアダルトのネタバレと今後の展開は?
相変わらず冴えない毎日ながらも、
ミルミルのハートをゲットし、ついに
ホテル行きにまでこぎつけた豊臣君。
まさに気合いは最高潮の状態です。
しかし、そこでかつてのガールフレンドの
早見 明菜ちゃんとばったりと
鉢合わせしてしまいます。
疎遠になっている仲であり、今更
断りがいるような状況ではないものの、
強烈に気まずい空気が流れてしまいます。
もっとも明菜ちゃんは恋人が
待っているからホテルに行ったのではなく、
店の開店資金を稼ぐべく、闇の麻雀を
するという大仕事がありました。
負ければ何もかも失うという状況の中、
かつての想い人の「現場」を
目撃してしまうというアクシデントで
精神的ショックを受けながらも、
持ち前の強烈な運によって
明菜ちゃんは圧勝、
見事「虎」を狩り、大金を手にします。
一方の豊臣君は、明菜ちゃんと
鉢合わせになったショックからか、
結局ミルミルに何もできなくなってしまい、
せっかくの千載一遇のチャンスを
逃してしまうのでした。
スーパーヅガンアダルトの読んでみた感想・評価
デフォルメした絵柄で、
「ノーマーク爆牌党」などの
ハード路線からソフト系の作品まで、
実に多彩なジャンルを麻雀と絡めてくる
片山氏作品の中でも、
「スーパーヅガン」シリーズの独特の
ユルい雰囲気は格別と
言えるものがありますね。
本編から時が経ち、登場人物も
大人になった本作でもその空気感は
健在で、往年のファンとしては
読んでいて嬉しくなりました。
理論に沿った真剣勝負の麻雀を
やるのもいいですが、やはり一番
楽しいのは気の合う仲間と
ワイワイやる麻雀で、負けても
悔しいけれどそれだけじゃない、という
面白さが健在だったのは、むしろ
今だからこそ新鮮だとも思います。
ストーリーの方もいい意味で
ハチャメチャで、特にワールドカップに
かこつけて、雀荘で無理やり暴れる
フーリガン集団と麻雀をするくだりなどは、
小ネタの連続であるにも関わらず
読者としては爆笑という名の
ゴールラインを割ってしまいましたし、
色々な前提をぶち壊しにする
豊臣君の不ヅキにも安心感があります。
スーパーヅガンアダルトはこんな方におすすめな作品!必見
勝てば嬉しい、
負ければ悔しいのが麻雀です。
ルール上は誰かが一方的に
負けにくい形ではあるのですが、
それでも連敗を続けていいると、
もう辞めてしまおうかと
いう気にもなります。
一方、麻雀漫画は、大変なものが
賭けの材料になることが多く、
そのために主人公がやたらと強い
設定になっていることが多いですが、
本作は違います。
主人公である豊臣君は就職した
今になっても、いつもの連中に
むしられながら「ヅガン、ヅガン」と言って
負けまくりますが、働くことの大変さや
お金の重さが分かった後でも、
決して本質的にバックれることはなく、
その変わらなさが非常に爽やかです。
本編が終了してから時が経っての
続編となると、妙に社会情勢やキャラが
変化していたりすることがありますが、
豊臣君も明智たちも、そして
明菜ちゃんも、何だかんだで
卓を囲む時は学生の頃の
雰囲気そのままで、結局彼らが
麻雀を楽しみにしているのが
見えるのもいいですね。
豊臣君とミルミルがうまく親しくなっていく
ところで明菜ちゃんが嫉妬してくるなど、
あまりドロドロとしない大人の恋愛が
盛り込まれている部分も、ヘビーな
多くの麻雀漫画とは違う
雰囲気があり、箸休め的な
良さがありましたね。