タイトル | ホーム スイート ホーム |
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原作・漫画 | 八寿子 |
出版社 | 小学館 |
性格は正反対ながら、好きになった相手が
親の再婚によってきょうだいに!?
しかも新しい親だけではなく
「妹」や「弟」とも暮らし始める
生活が待っていて……。
恋愛と「家族」の間の板挟みもありながら、
新たに集まった面々のやり取りが
非常に心温まる、
「唐突系」家族の傑作ホームドラマです。
ホーム スイート ホームのあらすじ紹介
スパルタ式の父親に叱責され
成績のことを気にしていた静花。
両親が離婚し、その父親とは
「他人」になった今でも、
成績の浮き沈みには弱いのですが、
そうしたことなど一切気にしない
同級生の太郎と知り合い、
親しくなっていきます。
しかし、互いの思いを
確かめ合ったところで唐突に、
静花の母と太郎の父が再婚、
二人はいきなり「きょうだい」に
なってしまうことに。
もちろん血はつながっておらず、
「恋愛」をすること自体は可能ながら、
とにかく誠実な交際を考える静花は、
「結婚」することによっての不利益や
難しさを考え悩み苦しみます。
しかし大らかな太郎は、静花とは
まったく違う考えを抱いていたのでした。
ホーム スイート ホームのネタバレと今後の展開は?
テストでの成績が下がり
気落ちしてしまった静花。
もっともその下落幅は、
大したものではありませんでしたが、
かつて言われ続けていたことが、
心に「重石」となっているようで
家庭環境が変わった今でも
払拭できずにいました。
しかし、癒されるべく猫に触ろうと
座り込んでいたところに現れた
同級生の太郎は、成績のことなど
まったく気にしない大らかさで
それから仲良くなっていきます。
とは言え、静花が「恋人」に設ける
ハードルは非常に高く、
付き合おうと言った太郎に対しても、
率直にその話をしましたが、
太郎はまったくひるむことなく、
二人は両思いの関係になります。
しかしその直後、静花の母と
太郎の父が再婚することになり、
二人はいきなり「きょうだい」に。
しかも新しい父母だけではなく、
「妹」や「兄」ができるような
家庭環境になってしまいましたが、
太郎と静花の気持ちは変わらず、
また、新たな家族たちとも
様々な出来事から心を通わせます。
時には、静花が、まだ知り合って
間もない太郎の妹の姫子の
問題を解決したり、
新しく出来たばかりの「息子」が
「父親」の気分を盛り立てたり、
意外な変化も出てくるのでした。
ホーム スイート ホームの読んでみた感想・評価
前置きなく他人同士が
「家族」になるにも関わらず、
必要以上にギスギスしない、
心温まる物語でしたね。
成績の件で重圧を抱える静花が
大らかな太郎と出会い
心を通じ合わせていく。
ボーイミーツガールとしての
定番な導入ですが、本作はそこから
両親の再婚によって、
唐突に「家族」になるのですから
驚いてしまいました。
しかも新しい「親」だけでなく、
きょうだいまでも含まれている上、
全員微妙なお年頃という形で、
ギスギスした物語が
展開されていくのではとも
心配してしまいました。
しかし結論から言って、
その懸念はまったく不要でした。
太郎や静花をはじめ、
新たに「家族」になった面々は、
それぞれに問題を抱えつつも、
相手の抱えている者を読み取り
親身に優しく行動するための
思慮に満ちていました。
それは「彼氏彼女」的な
限定的なものではなく、
もっと全面的で温かいものであり、
「家族」としての柔らかさが、
読んでいる私の心を
解きほぐしてくれるようでした。
ホーム スイート ホームはこんな方におすすめな作品!必見
互いに好きになっていた二人が、
親の結婚を機に「家族」になったり、
あるいは疎遠になったりするような、
「再婚」を巡る話がキーとなる物語は
過去にもかなりありましたし、
名作と呼ばれる作品も存在します。
しかし、そうしたシチュエーションは、
元々のインパクトが強烈な上に、
「家族」になった中でどうやって、
「禁断の愛」を成就させるかに
集中してしまいがちで、他の家族との
「距離」はかなり気になります。
その点本作は、好き同士の男女が
きょうだいになるという軸はありつつも、
新たに「家族」になったとの相手との、
心の交流や心温まるやりとりを
満喫することができます。
恋人である以前に「家族」であるなら、
仲良く心温まるファミリーの風景を
満喫したいなら、本作は、
オススメできる一作だと思います。
また、静花も太郎も、
再婚する如月さんたちも、
状況的に当然「恋愛体質」ですが、
決して視野が狭くはならず、
二人の関係だけに埋もれたり、
人を避けたりしないのもいいですね。