タイトル | 愛のアランフェス |
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原作・漫画 | 槇村さとる |
出版社 | 集英社 |
フィギュアスケートの名選手だった
父親から幼いころからスケートを
教え込まれてきた森山亜季実。
父親のもとを離れ、ともにスケートに
取り組む仲間たちや友人との
交流を深める中で、
亜季実は日本を代表する
フィギュアスケーターとして
成長していく。
愛のアランフェスのあらすじ紹介
森山亜季実は、日本フィギュア界で
往年の名選手だった父親の指導を
幼いころから受けて育った。
ある日、国際大会の
エキシビションに飛び入りし、
世界トップクラスの演技で
一躍天才少女として注目を浴びる。
それをきっかけに亜季実は
父親のもとを離れスケートクラブに
入会し実力を示していく。
母の死やそれに続くスランプ、
ライバル選手らの嫉妬など
次々に試練が襲うが、
ともにスケートに取り組む筒美や
貝谷、黒川の支えで乗り越える。
互いに惹かれあっているとわかった
亜季実と黒川はペアスケートを始めるが、
難しいペアの壁にぶつかり、
徐々に亜季実の精神は不安定になり、
黒川に依存していくようになっていく。
このままではいけないと思った黒川は、
亜季実を残し、単身ロンドン留学を
決めてしまう。
愛のアランフェスのネタバレと今後の展開は?
黒川はロンドン留学へ発った後、
亜季実はアメリカから帰ってきた
柴と出会う。
柴から「黒川に寄りかかっている限り、
何も変わらない」と言われ
ショックを受けるが、
柴の、怪我を抱えていても
それを他人に悟らせない練習、
氷の上で一人きりで向き合う姿に
胸を打たれる。
ひとりのシングルの選手として
ひたむきにスケートに取り組み、
黒川が再びペアを組みたいと
思えるような選手になることを決心した
亜季実は、スケート協会の推薦を受け、
ロンドンで行われる大会の出場権を得る。
遠征先のロンドンからスペイン・
アランフェスを訪れた亜季実は、
黒川と運命的な再会を果たし、
再びペア結成を決める。
その後二人はスペインの観光を楽しんだり
路上で歌うストリートチルドレンと
出会うなど、スペインの持つ強烈な
光と影を肌で感じ、
「アランフェス協奏曲」への思いを
高めていく。
国際大会出場に向けて練習が始まると、
コーチから二人は別々の場所で
練習するよう告げられる。
それは二人が歩んできた軌跡を
思い起こすための練習だった。
技術だけじゃない、心まで高めあった
プログラムを国際大会で
滑り切った二人は、
場内割れんばかりの歓声と
最高点を得る。
愛のアランフェスの読んでみた感想・評価
「情熱」や「愛情」などの言葉が飛び交う、
いわゆる「暑苦しい」展開の
盛り合わせですが、
登場人物の表情や作品全体の雰囲気は
どちらかといえば「しめっぽい」
かもしれません。
まず主人公・亜季実の境遇が重い!
天才スケーターの父と華族出身の母。
突然の金の卵としてスケート協会からの
庇護を受けて得た恵まれた
練習環境と周囲の期待と嫉妬。
取り巻くのは穏やかなイケメンと
華やかな伊達男。
憧れの先輩はじつは恋のライバルだったり、
まだまだ他にもたくさんありますが、
これでもか!と少女漫画的要素を
詰め込まれ、苦難に次ぐ苦難。
正に七転八倒。
物語の冒頭の明るい表情はどこへやら…
なんてこともしばしば。
それでも安心してください。
最後はハッピーエンドです。
全7巻と短いですが、
とても濃厚な7巻です。
読了後はひとつの壮大な映画や
ドラマを見たような、
そんな気持ちになれるでしょう。
登場人物全員がそれぞれに
バックボーンを抱えた人間として
描かれていますので、
きっと一人は共感できる
キャラクターがいると思います。
愛のアランフェスはこんな方におすすめな作品!必見
少女漫画が好きな方はもちろんですが、
単純な恋愛ものには飽きてしまった方、
恋愛よりも人間ドラマに重きを置いた
作品を読みたい方にお勧めです。
亜季実と黒川、筒美と貝谷の4人を
中心として恋愛模様は描かれますが、
それらは作品に一貫したテーマである
「愛」を描くための手段でしかなく、
物語のメインではないように思います。
そういう意味では恋愛ものが苦手で
少女漫画が苦手な方にも
読みやすいかもしれません。
単行本全7巻、文庫版でも4巻と
決して長すぎない巻数なので、
長編作品が苦手な方にもおすすめです。
関数は少ないですが、しっかりと
話がまとまっているので
物足りなさはありません。
そして、できれば多くの
女の子に読んでもらいたいです。
女性が恋をすると、相手の男性に
もたれ掛って甘えて依存してしまいがちで、
作中で亜季実も黒川に
依存するようになってしまいます。
物語冒頭の芯のある人物像がいったん
崩れてしまいますが、そこから立ち上がり、
再び一人の人間として
黒川と共に歩みだします。
その姿をできれば若い女の子に
読んでもらって、
胸にとどめてほしいと思います。