タイトル | タイム・トルーパー |
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原作・漫画 | 小林源文 |
出版社 | SBクリエイティブ |
世界の命運を変えた
西暦1944年6月6日。
後の世にDデイと呼ばれるこの日。
第二次世界大戦の大きな分岐点となる
時代に送り込まれてしまった、
5人のユニオン・フォース達。
西暦2100年の遥かな時代から
送り込まれた彼らに与えられた任務とは。
正史に存在していない
ドイツ帝国の核兵器の破壊だった。
混沌とする戦火渦巻く時代に挑む、
未来の兵士達の運命は?
そしてドイツの核兵器とは一体?
タイム・トルーパーあらすじ紹介
西暦2100年。
宇宙へと進出し多くの
植民地惑星を開拓した時代……
地球軌道上の月面衛星上で
国連軍であるユニオン・フォースの
や降下訓練が行われようとしていた。
無数の降下シャトルが降り行く中で、
降下シャトル4869は消失してしまう。
シャトルと乗り込んでいた
第124軌道降下兵中隊A分隊の
消息にざわめく司令部。
その消失の真意を唯一に知る
司令官と一人の老人の姿があった。
彼等は2100年の時代から、
1944年のDデイが開始される、
深夜のノルマンディーへと
降下を果たしていたのだ。
意識を失っていた
分隊指揮官であるSGT。
射出レバーへと手をかけるも、
部下であるボブによって
止められてしまう。
ディスプレイに映し出されていたのは、
岩と砂ばかりの無重力下の月面ではなく、
地球と同じ大気を有する地表だった。
月面の降下任務だった筈と慌てる面々。
これは緊急時の任務達成テストだと、
ここは地球型ドームでの訓練だと、
シャトルから降り、
訓練通りに散開を始める5人。
辺りを警戒するが、
他のシャトルの姿はなく、
木々も草も根が張っている
正真正銘の大地だった。
そしてサーチライトに照らされ、
夜空を飛ぶ爆撃機の姿。
降下するグライダーに、
迫りくる攻撃機。
思わず標的と打ち落とすも、
それは火を巻き上げ爆破炎上してしまう。
自分達が知る訓練内容とは
全く違う世界。
彼等は1944年6月6日に
降りたったことを知らなかった……
タイム・トルーパーネタバレ・今後の展開
1944年へと送り込まれてしまった
ユニオン・フォースの5名の分隊員。
ここが月面の訓練ドーム
ではないと知り、慌ててしまいます。
混乱する最中で、
電波を受信しようとします。
しかし衛星や司令部との
連絡も取れないと、あり得ないことに
驚きを隠す事ができない。
また本来ならば電波が飛び交う筈の
空間にも関わらず、どの電波も
受信できないと動揺してしまいます。
そう、彼らが立っている場所は、
あのノルマンディー上陸作戦が
行われた場所だったのです。
そうとは知らずに今から
激戦地へと化す場所で、
呑気に過ごしている彼ら。
偵察任務を帯びた連合軍兵士と接触し、
ここはどこかと訊ねますが、
相手は驚き、逃げてしまいました。
連合国兵士はすぐに
司令官に報告します。
が、酔っ払っているのかと、
真剣に取り合わずに、
行動を開始していきます。
そう、連合国の侵攻が
開始されようとしていました。
砲撃が幾つも撃ち込まれ、
ユニオン・フォースの乗り込んでいたシャトルが
破壊されてしまいます。
でも持ち前の装備の頑強さ故に、
怪我を負う事なく砲撃をやり過ごす彼等の前に、
ドイツ君の機甲師団が現れます。
戦車を目の前にして、
あれはなんだと疑問符を浮かべる5人。
あれは農業用のトラクターだと、
幾つもの意見が飛び交う。
とりあえずは話しかけてみようとしますが、
ユニオン・フォースの格好に警戒し、
銃撃を行うドイツ軍。
攻撃を受けてしまった
ユニオン・フォースは反撃。
レーザー兵器を保有する彼等の前に、
ドイツ軍は敗走してしまいます。
そして彼らはようやくにしてここが、
自分達の居る世界ではないと気づく。
世界が二つの勢力に分断した
二度目の世界大戦が
行われた過去だと知ります。
そしてタイムスリップしてしまった
事実も知る事となるのです。
彼らが装備するヘルメットに
残されていた司令官からのメッセージ。
それは正史に存在しない
ドイツの核兵器の排除と破壊の任務でした。
ボブの子孫と名乗る老人が見せる、
自分達が身に着けているヘルメットと同じ、
150年の年月で古びたヘルメット。
彼等は正史を正すべくに
タイムスリップさせられてしまったのです。
はたして彼らは任務をは
たすことができるのでしょうか?
タイム・トルーパー読んでみた感想・評価
日本戦記漫画の中で有名な御大でもある
小林源文先生が手掛ける作品
「タイム・トルーパー」。
SF戦記作品の中でも珍しい、
未来人が過去の戦場へと送り込まれて
戦うと言った内容の物語です。
この作品の舞台となるのは
1944年のノルマンディーからヨーロッパ。
第二次世界大戦の激戦の戦火で
渦巻く戦場で活躍する未来の兵士達の
活躍をコミカルに描いた作品でもあります。
この作品では、それまでにあった
小林作品の中では、比較的にコミカルな部分を
押し出した作風で展開しています。
マイペースに時代は?き
乱していくユニオン・フォースの面々。
彼らに振り回されていく事となる、
ドイツ軍将校のケストナー。
彼らを捕まえようと動く、
連合国とドイツ軍の策略など、
前作に比べて重い内容ではなく、
明るさが全面に出たSF作品となっています。
この作品の面白さは、未来人である彼らが、
あまりにもマイペースすぎる性格にあります。
技術的な差がありすぎる装備を手にし、
敵の戦車や戦闘機すらも一撃で
破壊してしまうレーザー銃での無双ぷりと、
緊張渦巻く筈の世界の中。
当たり前の様に未来の常識を
基準に考えてしまう。
誤った歴史認識で事を押し進める等と、
小林源文先生の作風にある、
リアルズムが別の感覚で表現されている事に、
今回の作品の見どころがあります。
今作品は、SF映画のテイストで言えば、
真面目さよりも、コメディタッチの
コミカルさを前面に出す。
タイムスリップ作品特有の
面白さを演出している今作。
小林先生のSF作品の
独特なエンターテイメントを
楽しめる内容の作品となっています。
タイムスリップ・パニック作品が好きな人におすすめ
現代から過去か未来へと送り込まれてしまう
タイムスリップ・パニック作品が好きな人に
読んでほしいのが、
この「タイム・トルーパー」です。
未来の最新装備を持った兵士達が、
第二次世界大戦真っ只中の
ヨーロッパに降り立つ。
ドイツ軍が開発しようとする
核兵器を破壊すると言った内容と、
見れば真面目なSFものかと思いきや、
意外にコミカルな部分があります。
またブラックユーモアな
ギャグも散りばめられたのが、
今作の魅力ともなっています。
またこの作品での見どころは、
小林源文先生が手掛ける戦記漫画の世界に、
未来の兵器を装備した未来人が活躍すること。
小林源文先生と言えば、
戦記劇画で有名な方です。
SFな作品は掛かれないと、
当時ではそう思われていました。
真面目な史実を元にした戦記漫画の傍らに、
違うジャンルに挑戦したいと言う
思いがあったようです。
SF戦記などの作品を手掛けていく
きっかけにもなったのが、
この「タイム・トルーパー」でした。
小林先生の発表したSF戦記作品の中では、
非常にコミカルさが押し出されています。
終末世界での最終戦争や、
未開の惑星での異星人との
ホラー・サスペンスとは違います。
エンターテイメント性の高い、
SF映画のノリで書かれているのが、
この作品の面白さとなっています。
そんな小林先生のコミカルなテイストを
堪能したい方におススメな作品とも言えます。