タイトル | ばらかもん |
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原作・漫画 | ヨシノサツキ |
出版社 | スクウェア・エニックス |
ガンガンONLINEにて
好評を博している漫画『ばらかもん』。
書道家、半田清舟を取り巻く人間模様を
描いたハートフルストーリーです。
作者、ヨシノサツキ先生の故郷、
五島列島を舞台としています。
タイトルのばらかもんとは
元気者を意味しています。
ばらかもんあらすじ紹介
とある受賞パーティにて、展示館の館長に
自分の作品を酷評された半田清舟。
動揺のあまり、勢いで館長に
殴りかかってしまいます。
頭を冷やさせる為に半田の父親が
送り出した先は、日本最西端の島。
田舎暮らしを始めた矢先、現れた少女、
なるとの交流を通じて、
半田の内面に変化が生じます。
館長の言った一言、
「平凡という壁をのり越えようとしたか?」
を思い出しながら見た、
防波堤の向こうの美しい景色に
心を動かされた半田。
その夜、心から楽しんだ
書を書き上げました。
その後、慣れない田舎暮らし。
個性豊かな島の住民達に助けられ、
半田は少しずつ人間的にも
成長を遂げていきます。
元々、心の優しい半田は島民に親しまれ、
『半田先生』という愛称で
呼ばれるようになりました。
田舎暮らしにも馴染んだ頃、
半田は館長に謝罪する為に、
一度東京へ戻りました。
島民との触れ合いで、
他人を思いやることを学んだ半田。
足腰の弱い館長を
殴ったことを心から反省し、
誠心誠意、謝罪しました。
その結果、
「もう二度と衝動で動いてはいけない」
と忠告を受け、館長の許しを得ました。
が、ここで終わらないのが、
半田清舟です。
鳴華賞に出展予定の作品を
館長に見てもらう。
長考の空気に耐えかねた半田は、
手近にあったコップの水を作品に
ぶちまけてしまいました。
試作品だとすぐばれるような嘘をつき、
誤魔化す半田の作品を
館長はいたく気に入ります。
「これよりすばらしい字が
見られるのが楽しみだ」
と言い残しました。
そうして、東京で書いた
鳴華賞出展作品『石垣』。
半田が今、一番大切に思っているものを
テーマに生み出されました。
ばらかもんネタバレ・今後の展開
田舎暮らしが始まって幾つかの
季節が過ぎた頃。
半田の両親が島にやって来ました。
父は高名な書道家、半田清明、
母の半田えみは若々しい着物の似合う
大和撫子(ややヒステリック気味)です。
それに半田清明の付き人、桐恵さんが
息子であり半田の友人、
川藤と共に同伴します。
この桐恵さん(川藤の父)が、
えみと犬猿の仲なので、
かなりカオスです。
そんな状況の中、なるが通う学校で、
半田先生と清明先生による
特別授業が取り組まれました。
出来の良いものを先生に見せるように
言われた子供達は素直に従います。
「先生と大先生(清明)って、
どっちが上手なの?」
なるが放った無垢な一言が
波紋を呼びました。
そこで半田を桐恵に認めされたい川藤が、
両者の対決を提案します。
素直な意見を言える子供に一番を
決めてもらうというのがルールです。
半田に自信をつけさせる
つもりの対決でしたが、
やはり父の方が一枚上手でした。
巧みに子供達の興味を引きます。
落ち込む半田に父は声をかけました。
父は普段多くを語りませんが、半田の字を
素直な字だと励まします。
半田が努力していることを誰よりも
知っている父。
「息子にとって生涯のライバルでいたい」
と激励しました。
窓から吹き付ける風に舞い上がる半紙、
半田は咄嗟に閃き、子供達に
半紙を集めるように言いました。
子供達が書いた半紙を寄せ集めて
作った文字『心』はとても斬新です。
見る者を温かい気持ちにさせてくれます。
帰宅した半田は、
母から一枚の写真を見せられました。
それは半田のお見合い相手の写真でした。
事態は、館長の孫娘が書展で見た半田に
一目惚れしたことに端を発します。
断れば書道界追放、両親の立場は
悪くなることを案じていた半田でした。
しかし両親との話し合いの最中に
割って入ってきた、なると美和、
たまの意思により決意を固めました。
やるべきことがあると断り、
事態は収束しました。
ばらかもん読んでみた感想・評価
若さ故に衝動的な行動に
走りやすかった半田先生。
様々な体験を通して、道徳を学び、
大人として成長していく様が見所です。
半田先生が本当に見ていて危なっかしい。
でも助けてあげたくなるような
人柄なのが魅力ですね。
書道に対して、純粋でひたむきに
向き合い続ける努力の人です。
懸命に努力を続ける人のことを
周りも見ていますから、応援したくなります。
半田先生と島民達が、
互いに良い影響を与え合い
見ていて心温まります。
ひとつひとつのエピソードが印象的で、
人生で何かに行き詰ったとしても、
この漫画にはその解決を導くような
手掛かりがあります。
東京に来たなるの一言によって、
自分の生きる意味を見つけた半田先生。
この後、進路の違いから川藤と
仲たがいをしてしまいます。
私はばらかもんのスピンオフ作品、
はんだくんも一緒に読みました。
利己的で計算高く、半田先生の青春時代を
灰色に染めた張本人である彼に
良い印象はありませんでした。
しかし、読者の見えない
二人で過ごした時間や
全幅の信頼があります。
半田先生はわだかまりとも
思っていないようです。
そう言われると、確かに彼の行動は
結果はどうあれ、己の利だけではない。
半田先生の為に良かれと思って
取った行動もありました。
二人の友情がこの後
どうなるのか気になります。
半田先生はこの後、書道家を辞め、
子供達に書道を教える先生を志します。
しかしこれからまたどのような展開が
待ち受けているのか、続きが楽しみです。
人情あふれる温かい物語が好きな方におすすめ
半田先生と島民達の交流は
愉快でほっこりとしますし、
社会人が読んだら癒されるでしょう。
世代を選ばず好まれる作品ですが、
特に半田先生と同じくらいの年齢の方が
共感して読み込めると思います。
笑えもするし、感動もする、
優しい物語となっています。