タイトル | ぼくの地球を守って |
---|---|
原作・漫画 | 日渡早紀 |
出版社 | 白泉社 |
高校生(+α)7人による
異星人としての前世と
地球人としての現世が
交錯する物語・・・
ラブコメディーから
サイキックバトルまで
様々な要素が詰まった、
『前世ブーム』を引き起こした
マンガ界の金字塔!
ぼくの地球を守ってのあらすじ紹介
父親の転勤に伴い
東京へと転居した坂口亜梨子(ありす)。
彼女には不思議な能力がある。
――植物と会話する能力
それは夢で見る
『前世』の記憶に由来する
能力だった。
東京の自然の少なさもあり
新しい環境に馴染めず
家族以外の話相手といえば
隣室に住む一家の
イタズラっ子・小林輪(りん)ぐらい。
輪に振り回されつつも
懐かれてはおり
小林家からも信頼されていたが
輪を預かっている最中
不注意から
ベランダから落下させてしまう。
幸い、特に後遺症などはなく
順調に退院したかに見えたが
この事故を境に
輪の人格に別の何かが
浮上してきて・・・
ぼくの地球を守ってのネタバレと結末(最終回)は?
最初の内こそ
『前世の記憶』を面白がって
仲間を集めていく亜梨子たちですが
物語が進みにつれ、
また夢の内容が進むにつれて
彼女たちの前世が
かなり凄惨なものであったことが
明らかになっていきます。
月から地球を眺めている
自分たちの前世を、
亜梨子たちは度々
夢の中で見ていたのですが
月まで来ていた理由とは、
地球の生態調査が
主たる目的ではあるものの
状況によっては
地球を侵略する可能性も
示唆されだしたのです!
さらには
未知の病原菌により
7人は基地の中で
どうすることもできず
絶望して最期を迎えるという、
あまりにも悲惨な結末・・・
前世の話で盛り上がっていたことが
夢を促進させたのではないかという
推測も出て、
これ以上は精神的によくないので
過去のことは忘れて
前向きに生きていこう! と
そう決意したものの
話は終わりません。
前世メンバーの中に1人
かつての仲間たちを
激しく恨む者がいたのです・・・
ぼくの地球を守っての読んでみた感想・評価
一番印象に残って、かつ
クスッと笑えたのが
同じ過去でも
キャラたちの視点で
まったく違う話になっていること。
輪の前世視点では
彼は一貫してクールフェイスで
ハードボイルドな雰囲気なのに
亜梨子の前世視点では
実はマヌケ面になっていることが多く
割とギャグ寄りになっているのです。
こうした、
『人それぞれ見ている世界は違う』
という事実は
意外とマンガの題材になりにくく
また、あったとしても
観念的な大げさな話になりがちです。
しかしこの作品では
それが本当に自然に描写されていて
前世の視点が根幹になる
物語ならではだと感心しました。
いろんな要素が詰め込まれつつも
読んでいてストレスがないのも
特徴のひとつで、
前世の夢を追うオカルト的展開から
現実の高校生としての
青春群像劇のようなシーン、
かと思えば
息もつかせぬ超能力バトルに
暗躍する犯人の
正体と目的を探る
推理ものの面白さも!
もう付け足すものはない、と
断言できる充実の作品です。
こんな方におすすめな作品!必見
『前世』が
キーワードとして進む物語、
などと言うと
陳腐に思えて敬遠する方も
多いだろうと思いますが、
そう感じるほど『前世』が
創作界に氾濫したのは
実はこの作品が契機なのです。
前世の記憶がリアルなあまり
現世にまで引きずってしまう・・・
という問題は
作品中でもしっかり描かれていて
物語のテーマにもなっています。
ですので
前世と聞いて嫌悪感を持つ人も
逆に納得の展開ですし
過去としっかり向き合って
未来を生きていくという
主人公・亜梨子の選択は
むしろ
物語の設定から受ける印象より
ずっと前向きです。
敵情視察ではありませんが、
『前世ブーム』を引き起こすほどの
作品を読むことによって
こんな面白い話を読んだから
ハマる人が出てきたんだな、と
知ることは
前世嫌いの人にとって
非常に有用でしょう。
ただ、
そんな難しいことを考えなくても
高校生たちの些細な雑談から
宇宙を超えた規模の
壮大な物語が展開する様は
すごく壮大で読み応えがあり、
等身大の主人公が活躍する話が
好きな人に特にイチ押しです!