タイトル | 岸辺露伴は動かない |
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原作・漫画 | 荒木飛呂彦 |
出版社 | 集英社 |
自身の漫画作品に究極のリアリティを!
相手を本にするスタンド能力
『ヘブンズ・ドアー(天国への扉)』を持つ、
鬼才の漫画家・岸辺露伴の体験を綴った物語。
岸辺露伴──彼は動かない、
ただそこに漫画にすべき
エピソードがあるだけなのだから!
岸辺露伴は動かないあらすじ紹介
岸辺露伴──週刊少年ジャンプに
自身の作品『ピンクダークの少年』を
連載中の人気漫画家である。
彼が取材した数多くのエピソードには
奇妙な人生と、奇妙な運命を歩む
人々の物語があった。
究極のリアリティを求める彼の取材した
エピソードの一つ。
偶然出会ってしまった男と、
その男が歩む奇妙な運命と、
罪深き人生が語られる。
岸辺露伴は言う。
あれはある事故にあってしまい、
ひと夏ほど連載を中断していた時期。
彼はイタリア──ヴェネツィアへ
8日間の取材旅行に向かう。
ある日彼は教会の
懺悔室の取材を行っていた。
懺悔室……それは木製の
電話ボックスのよう。
人一人だけが入る小さな部屋。
それは重なり、小さな小窓が通じ、
顔を合わせる事はない。
神を信じる信者が、神父に罪を、
自身が犯してしまった
あやまちを語る場である。
誰にも語る事の出来ない
人間の救済の為に作り出された、
精神の浄化の叡智である懺悔室。
リアリティを求める彼は、
懺悔室へと入る。
神父への懺悔への体験を
試みようとする。
彼が入った部屋は、
神父専用の部屋だったのだ。
岸辺露伴を神父と
勘違いした信者が告白する。
その罪深き殺人と裏切りに
後悔と懺悔に満ちた、その男の人生。
それでも前向きに未来を
見言い出そうと、
その男の物語を知ってしまう。
かつてとあるトウモロコシ工場の
下働きをしていたその男。
自分を頼った、救いを求めた
浮浪者を責め殺してしまった。
そして……その日以来に、
彼には信じられないような
幸運が舞い込む。
彼は若くして大金持ちになってしまった。
恵まれた生活を手にしても、
拭えない不安。
死んだ筈の男が、
自分に告げた呪いの言葉。
……幸福の絶頂を迎えた時に、
必ず迎えに来る!
と、その言葉が脳裏に残っていた。
そして……その言葉は現実となった。
小さな一人娘が空中に投げた
ポップコーンを食べる。
その愛らしい仕草に、
彼は幸せを感じてしまった。
それが、あの男の約束が果たされる
瞬間だったのだと、
懺悔する男は語り続ける。
その罪深きエピソードを!
岸辺露伴は動かないネタバレ・今後の展開
『ジョジョの奇妙な冒険第4部
ダイヤモンドは砕けない』に登場。
読者から最も人気のある
漫画家──岸辺露伴を主人公にした作品
「岸辺露伴は動かない」!
各1話形式の短編を岸辺露伴の
体験したエピソードとして
紹介されるその物語──
「懺悔室」は、岸辺露伴が、
ある事故(もとい自業自得)に合う。
執筆を中断していた時期に
イタリアへと取材に訪れた。
とある教会の懺悔室を取材していた時に
出会った信者の告白が物語となっています。
この物語の主役となる、
懺悔する男の若き頃から物語は始まります。
自分に救いを求める浮浪者の男を
死に追いやってしまう。
その後に途方もない幸福に恵まれ、
巨万の金持ちとなった懺悔する男。
ですがその幸運は、それは死に追いやられ、
絶望の底へと落とされた
浮浪者の呪いだったのです。
愛らしい娘を持ち、幸福に満ちた人生に
幸せを感じてしまった時。
懺悔する男は、殺してしまった
浮浪者の男と出会ってしまいます、
そう自分の愛すべき娘に
憑りつく悪霊として!
懺悔する男に訪れた幸福は全て、
浮浪者の男が与えた呪いだったのです。
幸福の絶頂を感じた時に、
絶望の底へと落とす為に
しつらえられた死の呪い。
懺悔する男がその呪いに打ち勝つには、
神に浮浪者の恨みが逆恨みであるのかを
審判してもらうしかない、と。
それを証明する方法とは。
ポップコーンの一粒を投げ、
3回口に入れる事が出来たら、
彼は死なずに済みます。
が、もし落としてしまえば、
死は執行されてしまう。
今まで幸運の全てを使い果たされた
懺悔する男に幸運は残っていないと
あざ笑う浮浪者。
ポップコーンの一粒に
生死を賭けた審判に、
懺悔する男は果たして──
と、気になる展開を見せ、
次なるエピソードも
目の離せない内容に仕上がり。
死んだ筈の恋人に呪われ幸せを感じる、
人生の責任の全てを背負わせる
妖怪に憑りつかれた女性の物語「六壁坂」。
礼儀作法のテストを受け、合格すれば、
土地を打ってもらえるが、
失敗すれば、大切なモノを失う「富豪村」。
あのトニオ・トラサルディーと共に、
密猟を禁じられたクロアワビを盗る、
伝統と敬意が招く死への罠「密漁海岸」。
岸辺露伴の祖母の遺品グッチのバックが
織り成す奇妙な物語「岸辺露伴グッチへ行く」。
などなど、目白押しな作品が揃っています。
岸辺露伴は動かない読んでみた感想・評価
ジョジョの奇妙な冒険において、
もっとも個性的とも言える
漫画家・岸辺露伴。
自身の漫画作品の創作の為ならば、
どんな危険な事も厭わないと、
興味と好奇心に満ちた人物でもあります。
が、性格は負けず嫌いに根に持つタイプで、
性格には少し難はあるも、
洞察力と判断力で危機を切り抜けます。
また相手を本へと変えるスタンド
「ヘブンズ・ドアー(天国への扉)」
の能力で、対峙する敵を翻弄する。
独特のカッコ良さが栄える、
そんな彼を主役にした
「岸辺露伴は動かない」。
そんな彼が体験した物語を
エピソードとして語られている部分に、
その魅力があります。
誰しも人生の主役であるも、
その個人が体験したエピソード。
語られなければ知る事は無く、
それが如何なる物語でも、
知られなくては意味がない。
岸辺露伴が取材した、
奇妙な体験と人生を歩む、
ごく普通の人々の奇妙な物語。
その独特なエピソードに
心が魅かれるものがあります。
悪霊に呪われ、不幸ではなく、
幸福が与えられ、絶望の底へと
落とされようとした懺悔する男。
呪いから逃れるが為にとった行動や、
また恋人を殺してしまい、
その死を隠そうとした女性の罪。
その隠匿の日々に感じる、
不自由な人生にも関わらず、
妖怪に憑りつかれてしまった女性の物語。
手に入れられれば人生の成功を約束される
山の土地を手に入れる、
作法のテストを受ける女編集者の物語。
スタンド使いのバトルは無くとも、
ジョジョの物語と演出が成されている。
奇妙で恐ろしく、そして魅せられる、
そんな内容にまとまっています。
ジョジョ好きはもちろん奇妙な物語が好きな人にもおすすめ
ジョジョの奇妙な冒険に
魅入られた読者ならば、
必ず目を通しておきたい作品。
また奇妙な物語を堪能したい人に、
是非に進めたい作品です。
ただの怪奇ではなく、
奇妙と思えるような、
その独特な荒木飛呂彦氏の世界観。
この物語を垣間見たい時に
おススメな作品です。