タイトル | TWO突風! |
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原作・漫画 | 藤井良樹 旭凛太郎 |
出版社 | 秋田書店 |
群雄割拠、あらゆる不良たちが
それぞれの思惑から覇を唱える路上で、
少年院帰りの二人が旋風を起こしていく。
矢澤とヒーマ、固い信頼で結ばれた、
組織にも権力にもすがらない暴力コンビが
痛快なほどの徹底ファイトを見せる、
ハードな不良バトル漫画です。
TWO突風!のあらすじ紹介
暴れぶりが強烈過ぎたために
少年院送りとなった矢澤と池上ですが、
出所してからも彼らのやることは
変わりませんでした。
様々な勢力が入り乱れ、戦国時代の
様相を呈する路上で、かかってくる
火の粉を振り払うべく、あるいは
自分の力を誇示すべく、二人の
「最強」は、親友だけを頼みにして、
巨大な不良集団とぶつかっていくのでした。
凶悪なチームに巨大な暴走族までもが
彼らに襲いかかってきますが、矢澤たちの
ファイトは武器使用すら躊躇しない
徹底したもので、覚悟なき不良たちを
一瞬で飲み込んでしまうほどの
ものでもありました。
そんな二人はチームの格好の的にもなり、
ついには百人との戦いが
スタートしてしまいますが…
TWO突風!のネタバレと今後の展開は?
少年院から出てくるや、
有名チームCRASH★RUSHの
メンバーを叩きのめした矢澤 荒野と
その親友、池上 火祭(ヒーマ)
ですが、矢澤もヒーマも普段通りで、
特にヒーマは看護師さんに軽口を
叩いたりもしていました。
しかし、彼らの友人がCRASHの
怒りぶりを伝えると、ヒーマは表情を
一変させます。
そんな中、病院にガラの悪い
男たちが現れます。
彼らは看護師さんの注意も聞かず、
ヒーマを見つけるや警棒で
襲いかかってきました。
彼らはCRASHの構成員だったのです。
ヒーマと矢澤は、手分けする形で敵と
ぶつかり、まったく苦戦せずに
叩きのめしてしまいます。
平気で相手に鉄パイプを叩きつけ、
倒れている相手にも拳をぶつける
その戦い方は、看護師さんたちを
恐怖させるほどのものでしたが、
ヒーマたちは悪びれることもなく
病院を飛び出しました。
しかし、ヒーマが向かったのは
敵の本拠でも仲間のところでもなく
遊園地でした。
意図が読めない矢澤に、動かずに
情報集めに徹した方がいいと
応じるヒーマでしたが、
そうしている間にも仲間から
窮地を知らせる電話が
入ってくるのでした。
TWO突風!の読んでみた感想・評価
痛快、ハード、スピーディ!
アクションものに必要な要素を
ぎゅぎゅっと凝縮したような一作でした。
主人公の矢澤もヒーマも、十代半ばにして
少年院送りを経験したという筋金入りの
ワルですが、法やシステムの力には
頼れないアウトローにはつきものの
「組織の力こそが重要」という考えとは
真逆の思想を持っています。
友人知人は大事にするものの、
「組織」は決して作らず、何百人を
相手にしても信頼するのは親友のみという
徹底ぶりで、また戦いぶりも
完璧に徹底しています。
一切躊躇することなく相手の視力や
戦闘能力を奪いにかかるファイトスタイル、
鉄パイプどころか拳銃を使うことさえ
いとわない「覚悟」の量。
これらは、ヤンキーものであっても
主人公ではなくむしろ敵サイドに
見られる特徴とも言えますが、
二人が立ち向かっていく敵は常に
自分たちよりも強大ですので、
卑怯な感じはまったくありません。
戦いとなると一切の甘さや優しさが
消える彼らの性格や、にも関わらず
下の者を率いるような「展望」を
持たないヒーマたちの生き方は
好みが分かれるところでしょうが、
強烈な個性を持っているのは
間違いないところで、また、彼らと
敵対する不良たちも個性的かつ
非妥協的で、とにかく熱い世界観が
良かったですね。
シャレにならないほどの事件や
怪我を続発させたりしながらも、
一切「将来」を気にしていない
ヒーマたちの立ち位置も、
本作に関しては好評価です。
TWO突風!はこんな方におすすめな作品!必見
いわゆるバトルもので問題に
なってくるのが「強さのインフレ」です。
主人公が成長していく、勝って
いくにつれてどんどん相手を強くして
いくと、やがては常識外なレベルに
至ってしまうということが稀にあります。
競技のピラミッドが存在する
スポーツ格闘技の世界だけではなく、
喧嘩ものでもこの傾向は同じで、
ルールがないが故にかえって無茶な
地点に到達するリスクは
かなりあります。
そうなると、物語的には良くても、
話にリアリティや盛り上がりが
なくなってしまう危険があります。
その点、本作では、主人公の
矢澤とヒーマの「ツートップ」が
元々主人公にして最強という地位を
保ち続けていますので、強さ的には
不自然な「成長」をすることはなく、
序盤に出てきた相手の格を落とさずに
作品の熱さを保っているのが特徴です。
ある程度以上のボリュームがある
バトルもので、主人公が強さ的に
抜本的に変わらないというのはかなり
珍しい構図ではあるのですが、
本作に関しては不自然さはありません。
一方で本作は、現実の東京の
「路上」を舞台にしながらも、いくつかの
部分を現実から引くことで作品作りに
活かしています。
たとえば、本作では強烈なほどの
無軌道ファイトが繰り返され、
鉄パイプや木刀はもちろん、日本刀や
拳銃、サブマシンガンすら出てくるような
状況なのですが、治安当局からの
介入はほぼありません。
それも中途半端に対応を
遅らせるのではなく、姿さえ見せない
徹底ぶりなので、武器や兵器による
「一発逆転」などの痛快な展開への
感情移入を妨げることはありませんし、
ズルさもありません。
ファンタジー系の小説や漫画を作る
際にも、役所や当局はどう動くか、
といった「背景」を考えることは鉄則と
考えられているのですが、本作は
気持ちいいほどにそういった部分を
切り離し、Vシネマ的と言ってもいい
徹底したバトルに終始するという
潔さで描かれています。