タイトル | からくりサーカス |
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原作・漫画 | 藤田和日郎 |
出版社 | 小学館 |
マサルは泣き虫でいじめられっ子。
ある日、拳法の達人で熱血漢だけど
アホなところもある
鳴海という少年と出会います。
鳴海は、人を笑わせないと
死んでしまうゾナハ病なのでした。
序盤と後半では、ストーリーの内容が
ガラッと変わってくる、
不思議な漫画がからくりサーカスです。
後半では、ある人を笑わせるために、
さまざまな人物たちが、
世界を股にかけて物語を展開させていきます。
バトルも熱いです!
からくりサーカスあらすじ紹介
「けっこうひどいいじめ、というより犯罪」
と言われてしまうほど、
いじめられている小学生のマサル。
マサルは、ある日、
誘拐されてしまいます。
付き人の女性しろがねは、
行き過ぎた過保護でマサルに接していました。
しろがねは、人形を操るという
サーカスの技を繰り出せるので、
確かに強い女性。
しかし、彼女もマサルを
助けに行こうとするのですが、
倒されてしまいそうになります。
そこへ来たのが、
風船を渡そうとしただけの鳴海。
鳴海からしたら正体不明の敵が現れて、
ドタバタした誘拐バトル劇が開始されていきます。
しかし、マサルを救い出そうとしたときに、
鳴海は、腕をケガしてしまったのです。
そのおかげで、
マサルたちは最悪の結末を
迎えることになります。
しかし、この物語はまだまだ終わらず。
新たな敵と、意外なそれぞれの
キャラクターたちに隠された真実や、
とんでもないどんでん返しが待っているのでした。
からくりサーカスネタバレ・今後の展開
ネタバレになりますが、
からくりサーカスですごいところを教えます。
何十巻もある漫画の中で、主人公の鳴海が、
わずか数巻目で死んでしまうという
展開が用意されていることです。
子どものときに読んだせいで、
あまりに主人公が死ぬ。
しかも腕だけ残って、
という衝撃的すぎる展開。
ショックをウケてしまい、
漫画の先が読めなかったことがありました。
でも、大人になってから、
やはりあの漫画の続きが
気になってしまうのです。
おそるおそる読んでみたら、
逆に「え?」という心境になりました。
しばらく読んでいなかったら、
漫画の表紙に鳴海がいるのです。
生きているんですよね、この熱血漢の鳴海は。
しかも、鳴海が主人公になったり、
マサルが主人公になってしまったり。
主人公を選択できるゲームみたいな話の進め方に、
かなり新鮮さを感じました。
藤田和日郎さんの漫画って、たしかに、
どのキャラクターも目立たせることは
多かったのですけどね。
ヒーローが死んで、残ったヒーローだけで
話が進んでいくと思ったらこれが違う。
鳴海がまた生き返り、
ダブル主演で話が展開されていきます。
っていう展開は、あと、
しろがねが誰と結ばれるか結ばれないかも
気になるところでしたが。
マサルとしろがねは
結ばれなかったのです。
でもこのカップル別に
不人気ではなかったようです。
からくりサーカス読んでみた感想・評価
からくりサーカスで1番おもしろかったところは、
ルシールというおばあさんが出てくるところです。
藤田和日郎さんの漫画って、
バッタバッタと主要キャラがどんどん死んでしまう
という過酷な話の展開が多いのですが。
このからくりサーカスも
そういった面の残酷さは健在です。
どの話も人が死ぬときは切ないけれど、
やはり残酷でした。
人が死にすぎて倫理観についても
考えてしまったぐらいの印象まで
持ってしまいました。
しかも、藤田和日郎さんは
それだけでは終わらないんですよね。
その中で、鳴海の母親のような
役割だったルシールも、
また死んでいく運命にあります。
このあたりが、かなり美しくて、涙が出ました。
絵の具に話をたとえて、
やりたいことがたくさんあったのに。
でもできなかった、
ということを鳴海にいうのですよね。
ただ、よく考えると、
後悔しないで死んでいける
人なんていないでしょう。
誰もが、もっとやりたいことを
やればよかったと言って死んでいっても
おかしくなさそうです。
でも、このシーンのルシールは、
それとはまた違った意味合いの
セリフだと感じさせられます。
地獄のような人生のせいで、
やりたいことができなかった。
そういった切なさや悲しみが、
伝わってくるのです。
どんな人だって、充実した人生を送れない。
でも、敵に苦しめられて、
自分の人生を生きることが
できなかったルシーンからしたら、
「まだやりたいことが
あったのにできなかった」
は、自分の意思で
そうしたわけじゃないという、
悲しいセリフなのだと思います。
あと、イラストの書き方に
工夫が見られるのも、いいですね。
藤田和日郎さんはこういった
イラストのタッチが多いです。
私はあまり藤田和日郎さんの漫画に
慣れていなかったので、かなり斬新でした。
へたうまかと思いきや、
とんでもなくカッコイイ書き方になったりするので、
なかなかイラストを見ていても飽きなかったです。
個人的に好きだったルシールも、
外見がどうみてもおばあさんなのですが、
しわくちゃの顔なのです。
なのに、美しく見えてしまうのが、
かなり不思議でした。
残酷な描写に耐久性がある人におすすめ
残酷な描写もたくさんあるので、
それに耐久性がある人におすすめです。
残酷さがあっても、
それより感動する漫画があるなら、
読んでみたい!
という人は、読んでみてもいいと思います。
藤田和日郎さんは、絵柄をシーンごとにおいて、
わざと変化させてるかのような、
個性的なイラストの描き方もしています。
飽きやすい漫画好きな人にも、
読んでもらいたいですね。
キャラクターの死亡率が残念ながら
高すぎるという、欠点を持つ漫画でもあります。
ただ、どうでもいい人間が死んでしまおうと、
何も感じないのが人間というものでしょう。
むしろ、たくさんの死を通して、
一生懸命に生きるということが、
どういうことなのか?
について考えさせられる
漫画だと言えるかもしれません。
ちなみに、主人公の鳴海は、
そこまでかっこよくないような
むさ苦しい感じのおじさん、
みたいに描写されています。
でも実は、彼は漫画の中ではモテモテです。
意外と恋愛も楽しめてしまえるので、
ちょっと残酷なのも好きだけど、
少女恋愛も好き。
という人にもおすすめできますね。
とにかく、からくりサーカスは、
話がいろんな方向に飛んだりします。
いろんなジャンルが詰まっていすぎて、
逆にいえば、
誰でも楽しめるんじゃないか?
と思ってしまうぐらいの漫画です。
いろんな人におすすめできる!っていうと、
無責任な言葉になります。
でも、本気でいろんな人に
おすすめしたくなった漫画が
からくりサーカスです。