タイトル | カブキの不動 |
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原作・漫画 | 観月昴 奥道則 |
出版社 | 日本文芸社 |
新宿、歌舞伎町。
東京一とも言われる不夜城の中、
必死で生きる人々に
寄り添う不動産屋がいた。
喧嘩には強いが女には弱い、
男気たっぷりな「カブキの不動」が
ワケありな入居希望者たちと
対峙していく、
痛快ヒューマンストーリーです。
カブキの不動のあらすじ紹介
歌舞伎町で長く不動産業を営む、
「カブキの不動」こと不動 大介の店に、
新たな入居希望者が現れます。
それは「白衣の天使」、
女性看護師でした。
美人な看護師登場に鼻の下を
伸ばす部下とは対照的に、不動は
気を引き締めます。
何故なら、その女性が
二部屋を希望したからです。
時を置いて、不動の不安は
的中します。
彼女にはやっかいなヒモがついており、
物件から立ち退こうとしないのです。
そこで不動は一計を案じることにしました…
カブキの不動のネタバレと今後の展開は?
ソープランド「らぶらぶ」女子寮、
不動が管理を任されている物件ですが、
そこで事件が発生します。
店の女の子たちが盗撮され、しかも
その光景が裏DVDとして
出回ってしまったのです。
管理者としての責任を果たすべく、
不動たちは犯人探しを始めます。
しかし不動は店の女の子と
イチャつくだけで、どう見ても
真面目に聴き込んでいる感じでは
ありません。
当然、店側は怒り、相当強く釘を
刺してきますが、不動は犯人の仕掛けの
トリックに気付きます。
各部屋ごとに撮られた映像ですが、
しかし鍵は一本しかいらないのだ、と。
そのカラクリとは、鍵の
「ローテーション」、入居者が代わるごとに
鍵を順繰りに変えていくアパート管理の
常識を悪用してカメラを
仕掛けていたのです。
そして、不動がトリックの全貌を
口にした時、意外な人物が
犯人だと判明するのでした。
その人物の卑怯とも言える行動に
憤る不動ですが、まずは手を出さず
言い分を聞こうとします。
しかし、犯人の口から出た言葉は、
まったく不誠実なものでした。
カブキの不動の読んでみた感想・評価
結構ヤクザ系の漫画も読む中でも、
「力」をバックにしたワルには何となく
肌が合わないのも感じていましたが、
本作は正直かなりフィットしましたね。
不動産屋さんとは言いながらも、
歌舞伎町で小さな物件の
貸し借りを扱っている主人公。
腕っ節は強いものの女性には弱く、
情には厚いが悪人には
容赦ないという、典型的なほどの
ヒーロー気質を発揮している不動の
タンカと活躍は、シンプルに痛快さを
感じることができます。
そして、彼が解決するトラブルも、
「なかなか住人がゴネて出てこない」、
「あと数千円が足りず部屋を借りられない
親子連れがいる」といった、
ささやかながらも現実的で切実なものが
多く、キャラのリアクションにも
説得力があります。
また、不動産に関する知識も
豊富でありながらもそれを
ひけらかすような構造にはなっておらず、
読んでいると自然に賃貸住宅に
詳しくなれる感じがあります。
エピソードも一つ一つが短く
メリハリがきっちりしているので、
中だるみを感じることもありません。
シンプルに楽しい不動産漫画を
読みたいなら本作ですね。
カブキの不動はこんな方におすすめな作品!必見
不動産屋さんと言うと、物件や
土地をたくさん持っている典型的な
強者、貫禄がある中高年の男性で、
的なイメージで描かれることが
少なくありません。
そして、借り手側よりもずっと強いからか、
悪徳不動産屋を成敗するといった
お話は非常に多いですね。
しかし、本作「カブキの不動」の
不動産屋さん、不動 大介は、
歌舞伎町で長年仕事をしてきた
だけあってワケありの客に
寄り添う術とハートを強く持っていて、
しかも明らかなワルではあるものの
ヤクザでもありません。
ですから、「らしい」不動産屋像が
しっくり来なかったという方でも
すんなり読み進めていくことが
できますし、きつ過ぎないお色気や
暴力がいいアクセントになってもいます。
また、精神的な「いい話」だけで
終始せず、物件賃貸に関する
色々な知識も身につくのが嬉しいですね。
一生を通じて自宅もお店もオフィスも、
何も賃貸せずで行くというのは
難しいのが現代ですから、
意外に必須な知識が
楽しみながら得られるわけですね。
物語が単純明快で後味が
良いのも高評価です。