今や日本のロボットアニメの代表といえば
「機動戦士ガンダム」であり
、今まで様々なシリーズが展開され、
それぞれ人気を博してきた。
その長い歴史の中でも特に異質なのが、
1994年に放映された「機動武闘伝Gガンダム」である。
この「機動武闘伝Gガンダム」は
今までのシリーズで採用された
「宇宙世紀」の枠を飛び出し、
新たな世界観で制作された初めての作品です。
内容も各国を代表するガンダム同士が
地球を舞台に戦うといった、
色々と衝撃的な展開が用意されていた。
それ故ファンからは賛否両論が巻き起こり、
今現在も全否定する人、
熱狂的に支持する人に分かれている。
そんなアニメ版をコミカライズした作品が、
月刊ガンダムエースで連載された
「超級!機動武闘伝Gガンダム」である。
アニメ版の総監督を努めた今川泰広が脚本を、
キャラクターデザイン協力としてアニメ版に参加した
島本和彦が作画を担当して作り上げている。
今川泰広と島本和彦の特徴と言えば、
両者とも男臭い熱血系の物語が得意だということ。
特に島本和彦は「炎の転校生」
「逆境ナイン」「燃えるV」「吼えろペン」など
多数の代表的な熱血作品を手がけている。
それらを知っている人なら
島本和彦の熱血描写はご存知であろう。
「超級!機動武闘伝Gガンダム」でも
そのテイストは存分に発揮されており、
むしろ「暑苦しい」程の熱量で展開されている。
男性キャラクターの多い本作は、
まさに島本和彦の独壇場である。
男同士の暑い闘いはもちろん、
ガンダム同士の戦いも大ゴマを
贅沢に使って描いている。
物語は基本的にアニメ版を踏襲しているが、
アニメ版では語られなかった
エピソードや説明不足だった心理描写。
様々な矛盾点の解消などの修正が施されているほか、
島本和彦の大胆で面白いアレンジも加わっています。
アニメを視聴した人でも新たな気持ちで
マンガ版を読むことができる。
【機動戦士ガンダム The ORIGIのネタバレ】とあらすじは?感想や無料試し読みもあり!
単純明快、気分爽快。何もかも忘れて単純に熱血しよう! そして楽しもう!!
さて、「超級! 機動武闘伝Gガンダム」
の魅力であるが
、既に書いた通り暑苦しいほどの熱血展開がひとつ。
特に本作では島本和彦の荒々しい線とともに
手書き文字や見開き一杯の展開も多用している。
熱い演出により一層の迫力を
与えることになっている。
それ以外にも島本和彦特有のギャグが
取り入れられているのも特徴。
アニメ版ではシリアス一辺倒だった主人公の
ドモン・カッシュをはじめとした各キャラクターが、
時にデフォルメされた姿で登場して
コミカルな演技を魅せてくれるのは嬉しいところだ。
また、島本和彦の特徴のひとつ、
シリアスな場面でもクスッとしてしまう。
シリアスギャグとでも表現するのが
ぴったりな演出も多く、
熱血展開のいいアクセントになっている。
そして序盤から登場するヒロインの
レイン・ミカムラと、中盤から登場する
アレンビー・ビアズリーという2人の女性キャラクターが
男ばかりの作品に華やかさを与えてくれる。
かなり力を入れて描かれているので
2人のファンは必見だろう。
またドモンを含めた三角関係もアニメ版とは
若干異なる描写がされているため、
ここも見所の一つとなっている。
もちろん一番人気のあのキャラクター、
ドモンの武術の師匠であり最大のライバルでも
ある東方不敗・マスターアジアも健在。
熱い戦いも存分に描写されており、
2人のやりとりはファンの方々も
納得の完成度に達している。
そしてロボット物の最大の特徴と言えば
メカ描写である。
最大の特徴は、マンガ版のみに
登場するモビルファイターの数々だ。
アニメ版ではドモンがガンダムファイト決勝大会で
シャイニングガンダムから
ゴッドガンダムに乗り換えただけ。
しかし本作ではシャッフル同盟全員が
新しい機体に乗り換える。
具体的には、
- ガンダムマックスリボルバー(搭乗者はチボデー・クロケット。アメリカ代表)
- ガンダムダブルドラゴン(搭乗者はサイ・サイシー。中国代表)
- ガンダムヴェルサイユ(搭乗者はジョルジュ・ド・サンド。フランス代表)
- ガンダムボルトクラッシュ(搭乗者はアルゴ・ガルスキー。ロシア代表)
の5機である。
ちなみにデザインはアニメ版でもメカデザインに参加した
大河原邦男が担当しているのでメカ好き、
ガンダム好きならチェックするべき箇所だ。
もちろんガンダム同士の戦い、
ガンダムファイトも激熱。
ロボットプロレスという表現がぴったりな
肉弾戦が数多く展開されるので、
ロボット物本来の醍醐味が味わえる。
他のガンダムシリーズのリアリティを
追及した演出とは間逆と言っていい、
昔ながらのロボット物のテイストを
残しているので賛否が分かれる。
「超級! 機動武闘伝Gガンダム」だが、
問答無用で展開するロボット同士の
熱い戦いが滅多に見られなくなった現在、
貴重な作品であることは確かである。
否定している人もぜひ一読してみることをお勧めする。
今までのロボット物とは違った面白さを
見つけることができるのは確実だ。
なお、第1話の最後では物語にまったく関係ないが、
アニメ版の前期主題歌「FLYNG IN THE SKY」の映像がマンガで再現されている。
しかも歌詞まで手書き文字で再現。
ここまでされるともはやアッパレとしか言いようがない。
ちなみに歌詞の最後にある「アガラチャーン!」は
空耳的な表現であるが、
アニメ版を知っている人なら大爆笑確実なので
読み飛ばさないように。