タイトル | 銀河英雄伝説 |
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原作・漫画 | 田中芳樹 藤崎竜 |
出版社 | 集英社 |
不敗の魔術師、ヤン・ウェンリー、
常勝の皇帝ラインハルト。
互いに力量を認め合った二人が、
死力を尽くして戦い、
あるいは数え切れない人々が、
複雑かつ濃密な背景から
人間ドラマを繰り広げる。
二人の英雄が銀河を駆け、
腐敗した社会ともぶつかっていく
歴史的な名作を、
熱さはそのままに装いを新たに
漫画家してみせた、
スピンオフの名作です。
銀河英雄伝説のあらすじ紹介
姉を皇帝に奪われ、宇宙をその
掌中に収めようと軍人への
道を進み始めたラインハルト。
持ち前の才能と努力によって、
数々の戦功を立て続けた彼は、
イゼルローン防衛に参加していました。
イゼルローンは帝国軍の不落の要塞で、
これまでに幾度も同盟軍を跳ね返し、
死体の山を築いていました。
その要塞を背後に置く形で
ラインハルトは、軍艦三千隻を使い、
あらゆる陣形を試していきますが、
一方のヤンは彼の試しグセを突き、
使ってくる戦法を見抜いた上で
手痛い反撃を加えていくのでした。
銀河英雄伝説のネタバレと今後の展開は?
ラインハルトとキルヒアイスが、
幼年学校を優秀な成績で卒業し、
自ら望んで前線に立ち、
陰謀にも負けずに出世している一方、
エル・ファシルの英雄として
一躍有名人になった同盟軍士官、
ヤン・ウェンリーは、規則にのっとり、
養子を受け入れることになりました。
捨てられていた猫とともに家に来た少年、
ユリアン・ミンツ君は、
少年らしい明朗な態度と
歳に似合わない家事能力で、
ゴミ屋敷と化していたヤンの部屋を
あっという間に片付けてしまうと、
おいしい紅茶を淹れてくれました。
一方、優秀な養子を迎えたヤンにも
イゼルローン攻略は難題でした。
要塞自体が難攻不落であると同時に、
いざとなれば帝国軍側は、
巨大な主砲で、味方ごと攻撃するので、
力押しではどうにもならないのです。
しかしロボス元帥は部隊を出し、
常識的な牽制攻撃を開始しますが、
帝国軍側はそれを完璧に察知して、
後方からの襲撃を仕掛けました。
ギリギリのところでヤンが気付き、
軍の崩壊こそ免れましたが、
その攻撃を仕掛けたラインハルトは、
小競り合いのたびに力を発揮し、
ついにはヤンの同期で、秀才の
呼び声も高いワイドボーンを
戦死させるに至るのでした。
銀河英雄伝説の読んでみた感想・評価
原作を何周も視聴し、小説も外伝まで
読み尽くした私ですが、本作はまさに
待望のスピンオフといった感じです。
原作終了から時間が経ってからの
スピンオフとなると、得てして
キャラの内面が変わっていたりしますが、
本作では一切そういうことはありません。
ラインハルトは相変わらず鋭く強く、
キルヒアイスは温和ながらも芯があり、
腐敗にも敵にも対する意思があります。
それは作者の藤崎氏の、原作への
こだわりや敬意をうかがえるこその
変わらなさと言えますし、
一方では少年時代のラインハルトや
トゥルナイゼンを取り上げたりと
今までにない切り口も冴えています。
また、ラインハルトの容姿も、
より「漫画映え」するような形で
調整させており、
アニメでなくても十分に
彼の容姿の素晴らしさが
読み手に伝わってきます。
原作の関係上非常にシリアスですが、
ふとした日常のシーンなどには
明確な柔らかさもあり、
原作ファンはもちろん、
原作を読んだことがなくでも、
世界観を満喫することができるでしょう。
物語の本筋には改変を加えていないのも、
本作に関しては英断だと思います。
銀河英雄伝説はこんな方におすすめな作品!必見
「読むSF大河ドラマ」と言えるほどの
圧倒的な背景とディテールを誇るのが
銀河英雄伝説です。
原作の強烈なほどのヒットによって、
OVAアニメやゲームなど
様々なメディアミックスがなされ、
現在に至るまでその人気は
衰えることがありませんが、
この作品のメディアミックス化は
意外と「鬼門」と言える部分があります。
徹底的に手を尽くしたアニメ版の出来が、
あまりにも素晴らしかったために、
どうアレンジを加えようと、
なかなか二番煎じ的な評価から
脱することができないのです。
しかし本作は、週刊少年ジャンプで
「封神演義」を描き切った名手、
藤崎 竜氏が、従来とは違う形で、
作品に新たな命を吹き込んでいます。
やや硬質なOVA版の絵柄とは違う、
少年らしい柔らかさを重視したタッチで
ラインハルトたちを描くとともに、
色彩の面でもモノクロの漫画という
媒体の特徴を活かし、
ラインハルトの鋭い美しさを
非常にうまく表現しています。
ラインハルトの幼年期や少年期、
そしてヤンの若い時代に重点を置き
序盤をじっくりと描いていますので、
原作では語られなかった部分を
きっちり補完する役目も果たしており、
従来のスピンオフとはまた違う形で
原作ファンのハートを掴むことに成功した
とても「分かっている」一作ですね。