タイトル | 霊感工務店リペア |
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原作・漫画 | 池田さとみ |
出版社 | 集英社 |
東京下町で、日々仕事をこなす
上総工務店。
そこの建築士で親方の孫の駒子は
超霊感体質であり、その利を活かして、
厄介な現場にも果敢に挑んでいく。
幽霊たちと人間が交錯する、
ただ怖いだけでなく、
心がホッとする展開が素敵な、
ハートフルで優しい、
「幽霊系」人間ドラマ作品です。
霊感工務店リペアのあらすじ紹介
上総工務店で建築士として働く駒子。
トップである祖父と同僚の玄ちゃんで、
日々仕事をこなすごく小さな
工務店の一つでしたが、
実は駒子は超強力な霊感体質であり、
科学的には説明できないが、
何かが起こっているという、
厄介な物件に対しての
解決能力はずば抜けていました。
ある日持ち込まれた物件は、
築百年以上にもなる廃屋を
取り壊してしまいたいという、
ごくごく簡単なはずの仕事。
しかし、工事に入ろうとすると
何故か関係者が体調を崩すというので、
「こういう仕事」ができる、
上総工務店に話が来たというわけです。
霊感体質の駒子にとっては、
明らかに霊が邪魔をしているのが
見え見えだったのですが、
実体化した「その子」に話を聞くと
そこには意外な真相が
含まれていたのでした。
霊感工務店リペアのネタバレと今後の展開は?
東京、下町にある上総工務店。
駒子が若いスタッフとして働き、
親方の祖父と弟子の玄ちゃんとともに
毎日仕事に臨む普通の企業ですが、
駒子が霊感体質であり、
また玄ちゃんが除霊体質であるため、
幽霊が出る現場に強みがあります。
その日行った現場でも駒子は、
若い女性が猫を探す想念の強さに、
悲しみとショックを受け、
部屋中の戸が勝手に開く問題も、
その女性の想念が原因だと、
対処するべく動き始めます。
前に住んでいた女性は、
どうやら猫を探している様子。
しかしその女性はかつて、
仕事中に脳出血で倒れ、
それから意識不明とのことで、
連絡することもできないまま、
アテなく彼女が大事にしていた
猫を探すことになりました。
もちろん、簡単に猫は現れませんが、
悪戦苦闘している最中に、
一人の男性が現れて、
彼がアパートで弱っていた猫と
遭遇して病院に持っていった話を
してくれたのでした。
それは一見、ごく普通の
エピソードのようでもありましたが、
騒動を解決するためには絶対必要な、
「鍵」のようなものでもあったのでした。
霊感工務店リペアの読んでみた感想・評価
問題発生から対処という
王道の展開を進みつつ、
単なる除霊ものとは違う、
懐の広さと柔軟さを
強く感じさせる
筋立てが楽しいです。
本作の特色は、
何と言っても普通の工務店の
スタッフである駒子さんが、
ごく自然に霊に向き合うという
珍しさにあります。
他の霊能的作品と違って、
職業が隠れ蓑や、
現場とは離れた日常にはならず、
あくまで工務店の業務として
仕事に臨むスタンスが
非常に斬新に感じました。
また、除霊と言っても、
霊をいたずらには敵視せず、
あくまで親身になって、
「原因」を探り出し、
解決を目指す優しさが、
読者にとっても嬉しいですね。
また、駒子と玄ちゃんの
幽霊対策コンビや、
駒子の祖父や父親など、
各キャラが非常に個性豊かで、
日常のやり取りからして面白く、
飽きることがないのも良かったです。
全体として恨みではなく、
将来を見越すかのような爽やかさで、
霊にも事柄にも向かい合っていて、
単なる怪談話ではなく、
もっと人間味のあるドラマとして
読み進めることができましたね。
霊感工務店リペアはこんな方におすすめな作品!必見
世界中に様々ある物件の中には、
強い思いが宿っているからか、
霊が出るとか、呪いが、といったような、
「いわく」のあるものもあると
多くのところで噂されています。
しかし不動産屋や工務店は、あくまで
実務のプロだけに、そうした非実体的な
トラブルにはお手上げなのが実情ですが、
本作の上総工務店は違います。
霊感体質の駒子と、ナチュラルに
除霊ができる玄ちゃんの強力コンビが、
悩みをグイっと解明していきますし、
何かがあれば仕事の損得抜きで
一生懸命に頑張って
解決に手を尽くします。
いわゆる霊能力者の法外な代価や
怪しいバトルが苦手な方にも、
本作のお仕事な雰囲気はオススメです。
また、非現実的な怪異だとしても、
単に排除すれば良いのではなく、
現実とリンクさせて考えるような、
思考の柔軟さと視野の広さを
感じ取ることができました。
また、実際に工務を担当するプロと、
特異な体質の名コンビ、
そして犯人を捕らえる側と、
霊的なものに限らず、
実務的な解決能力が
優れているのも素敵ですね。