タイトル | CURA |
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原作・漫画 | 六田登 |
出版社 | 双葉社 |
プロ球団の抑え投手として注目を浴びる
ベテラン、木浦。
しかし彼には吸血鬼という秘密があり、
そのことがバレて
奥さんにも逃げられてしまう。
人外であるという宿命を負った吸血鬼が、
何とか人間社会で頑張ろうと奮闘する、
ドタバタ異種族系ファンタジー作品です。
CURAのあらすじ紹介
ドラゴンズの抑え投手として
活躍してきた木浦ですが、
実は人間ではなく、
本物のドラキュラという特性が
ありました。
高い身体能力や様々な特性と
引きかえに、無性に血を求め、
血を吸えないと灰になってしまったりする
彼ですが、どうにか現代社会に順応し、
息子隆を人間社会で生かすべく、
野球選手をしていたのです。
しかし、血を吸わないと打たれ、
思い切り血を吸うと流血事件として
大問題になる上に、
木浦も力を制御することが難しく、と、
イマイチうまくいきません。
しかし、愛する妻に逃げられてもなお、
木浦は息子のために戦い続けます。
CURAのネタバレと今後の展開は?
ドラゴンズの抑え投手として頑張る
ベテラン投手、木浦。
しかし、少し前までは経歴不明の
リリーフエースとして大活躍していた
彼でしたが、
このシーズンに関しては打たれに打たれ、
息子の隆がいじめられるほどの
惨状でした。
しかし木浦の苦戦の原因は衰えではなく、
隆が思うような夫婦関係の問題でもなく、
血を吸えないことでした。
木浦は本物のドラキュラで、
普通の人間よりもずっと高い能力と
特性を持っていましたが、
血を吸わないと力を出せず、しかも
正体がバレてしまったために
奥さんに逃げられてしまっていたのです。
息子、隆の懇願や思いもむなしく、
シーズン途中でのクビを宣告されて
しまった木浦ですが、
近頃は我慢できずに「つまみ吸い」する
以外は血を口にせず、
どうにか現役を続けていました。
しかし、正体を知る妻には完全に
愛想を尽かされ、
なかなか先も見えない中、
木浦はついに空腹に耐えかね
女性の首筋に噛み付き
思い切り血を吸いますが、
それによる精力全開状態を制御できずに
裸で街中を走っているのを、
妻と息子に見られてしまうなど、
どうにもうまくいかない
野球選手生活が続いていくのでした。
CURAの読んでみた感想・評価
本作の最大のポイントは、何と言っても、
正統派ヴァンパイアである木浦さん
でしょう。
男前なこともあり、それっぽい衣装に
身を包めば、どこからどう見ても
超一流の吸血鬼で、
付け入る隙もなさそうなほどです。
しかし、彼がいるのは
中世ヨーロッパではなく
現代の日本ですから、
ああいった暑い服を着たりも
難しいですし、彼が相手にしているのも
プロ野球選手なので、
少し気を抜かれれば打たれるなど、
能力の制約のキツさに比して
辛い展開が続きます。
とは言え本気を出せばそこは
「人外」の中でも強力なことで
知られるヴァンパイア。
投手であるにも関わらず
場外ホームランを放ち、
相手のバットを粉々にするなど、
今までの扱いが報われるような展開も
満載なのもなかなか熱いところです。
一方で悲哀を感じさせる
描写もしっかりしており、
吸血鬼になることは全体として
オイシクはないんだと
結論づけていながらも、
どうにか人間世界でやっていくのに
球界を選ぶといった
今風な感覚があるなど、
様々な感情が揺さぶられる作品でしたね。
CURAはこんな方におすすめな作品!必見
ゾンビにオーガ、夢魔等々、
最近では人とほとんど変わらない
「異種族」が、主人公サイドに立ったり、
日常を謳歌する作品も増えてきましたね。
しかしあんまり人と変わらないとは言え
明確に「違う」、それも戸籍などが
あるかも分からないような状況で
生きていくのはなかなか大変ですが、
家族を持っているならば何らかの方法で
「稼ぐ」必要があります。
しかし「古式ゆかしい」異種族者の生き方を
しているだけでは、人間の奥さんや
子供を育てるのは難しいというのも
また現実で、散々苦労しながら
儲けられる方法を模索していく
必要があります。
本作で描かれているのは
そんな大変ながら心温まる苦闘の連続で、
一家の大黒柱であるパパの頑張りが
見たいという方にはもちろん、
リアル感ある今時の異人種ものを
楽しみたい方にもオススメできる
一作となっています。
人間離れしている木浦さんが、
「非現実的」な実力を
持っているわけではなく、
むしろ人間のプロ達の前に
大変なことになっているのも、
物語が簡単でない感じでいいですね。