タイトル | 魔人探偵脳噛ネウロ |
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原作・漫画 | 松井優征 |
出版社 | 集英社 |
『謎』を主食とする魔人と
大食い女子高生が経営する、
世にも奇妙な探偵事務所。
このコンビが行くところ
どんな謎も食べ物も
逃げ場はない・・・!
奇人・変人大集合の
超感覚推理アクション!
魔人探偵脳噛ネウロのあらすじ紹介
食い放題の店をハシゴするほど
異様な大喰らいの女子高生、
桂木弥子(やこ)。
そんな明るい彼女も
父が何者かに殺害され
しかも難解な事件のために
捜査も迷宮入りになりかけており
精彩を欠いた
暗い顔で日々を過ごしていた。
だがある日
彼女の前に突然現れた
魔人・脳噛ネウロ。
ネウロは謎を解明することで
謎に含まれる『悪意』を取り出し
主食としているという。
魔界の謎を喰い尽くしたため
人間界へやって来たというネウロ。
効率よく謎を集めるために
弥子は『女子高生探偵』に
仕立て上げられ
謎や悪意と直面する
非日常の日々に
巻き込まれることとなる・・・
魔人探偵脳噛ネウロのネタバレと結末(最終回)は?
効率よく謎=怪事件を集めるには
名探偵、のような名声があるとよく
しかし実際に名声を得てしまうと
熱烈なファンやマスコミの取材など
魔人としては面倒なことも多い・・・
弥子の当初の役割はあくまで
ネウロの隠れみの、でしたが
数々の事件を経て
犯人の心情と向き合う内に
大きな役目を担うようになります。
それは
犯人の心理を読むこと。
あくまで謎の解体・・・つまり
トリックがわかってしまえば
ネウロは他に興味を持ちません。
なので、例えばパスワード。
相手のパーソナリティーが
重要なカギになってくる謎だと
弥子の協力が不可欠になるのです。
また単に役に立つのみならず
事件に際しての
弥子の揺るぎない意思――
時としてネウロに反発してまで
自分を貫く姿勢に
ある種の仲間意識さえ芽生えます。
そんな2人の前に出現する
怪盗Xi(サイ)――
人間でありながら
魔人にも匹敵する
体の細胞を変化させる力を持ち
超人でありながら
他人を観察することに執着し
文字通り解体してしまう・・・
まさに最凶の敵と言える
この怪盗Xiが
2人の今後に大きく影響していきます。
魔人探偵脳噛ネウロの読んでみた感想・評価
推理を題材とする作品には珍しく、
ひょっとしたら唯一?
『恨みつらみで犯行に及ぶ犯人が
ほとんど登場しない』
(第1話の犯人以外すべて)
という稀有な作品です。
曰く、
「髪は人間にとっての神であり
神たる髪を司る美容師こそ
神の中の神」
「人間に合った家具を作るのではなく
人間こそ家具に合わせるべき」
などなど
犯人たちはそろいもそろって
狂気を通り越して
意味不明な動機を語ります。
最初は完全にモブ顔なのに
トリックを見破られた途端
骨格まで変形して
ハイテンションで
ぺらぺら自白しだす・・・という
『お約束』な展開を
過剰なまでに強調してるのが
爆笑ポイントです。
こうした日常?的な犯人たちとは別に
話数をたくさん取って出てくる
ボス的な敵がとんでもない。
悪意が他の犯人たちとは桁違いで
本気で怖ろしいのと同時に
どこか格好いい!
本来ネガティブなものである
悪意、という人の業。
それを魅力的に扱う点こそ
本作品の特徴であると同時に
カタルシスを誘う最大の魅力なのです。
ちなみに推理漫画の王道は
『名探偵コナン』です。
子供が見るものと言う先入観を
持っている方が多いと思いますが
大人でも見入ってしまう内容です。
こんな方におすすめな作品!必見
推理ものをベースとしているだけに
そういった作品のファンなら
確実にウケる仕様になっています。
口頭でトリックを見破られただけで
いきなり自白しだす犯人、といった
推理ものの典型のオーバー演出。
のみならず
「犯人はオマエだ!」
と指さされるのを
ブリッジで回避するという
典型を崩したギャグ。
こんな推理小説があったら
絶対に読んでみたい、と思える
ツボを押さえた演出だらけです。
反面、
推理パートそのものは
チート紛いの道具を乱用。
ほぼノーヒントで
いきなり犯人が浮上することも多く
そういった点では
『頭を使わない推理もの』
とも言えそうです。
推理は雰囲気だけ好きだけど
謎解きにはそこまで興味ない――
という推理ファンも一定数いますが
そういう人には
まさにうってつけと言えます。
しかし本作の魅力は
推理ものっぽいところ
だけではありません!
人の悪意を話の主軸に置いた
ピカレスクロマン的な
悪人(?)たちの衝突・・・
テンプレ作品にはもう飽きた!
という人は絶対お気に入りの
作品となるでしょう。