タイトル | DRAGON JAM |
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原作・漫画 | 藤井五成 |
出版社 | 小学館 |
高校に進まず、賭けバスケ三昧の
熱い日々を送る龍也は、
巨漢TJとの出会いをきっかけに
「ストリートの世界」に
深く入り込んでいく。
部活のバスケとはまた違う、
もっと自由で奔放なアクションが満載の、
とにかくカッコ良くて濃密な、
新感覚のバスケ漫画です。
DRAGON JAMのあらすじ紹介
経済状況などもあり、
高校に進学しないという
選択をした龍也の進路は、
何と「バスケ」でした。
しかし、公園で賭けバスケをして
生計を立てる日々を送る中で、
今は名門校に進学した、
かつてのライバル、亮司と再会。
負けられないという思いで、
最初から本気で技を見せる龍也ですが、
結局は厳しい練習を続けていた彼に
完全に敗北してしまいます。
しかし、その試合を見ていた巨漢TJが
龍也たちをストリートボールの世界に
誘っていくのでした。
DRAGON JAMのネタバレと今後の展開は?
母子家庭で育つ立花龍也は、
唐突に高校には行かないと
母に宣言します。
家の経済状況を思っての言葉でしたが、
将来を真面目に考えているとは思えず、
母親としては反対しますが、
その後結局彼は高校には進まず、
鎌倉の公園を本拠地に
バスケ漬けの日々を送ります。
とは言え純粋なスポーツではなく
手頃な相手を見つけて
一点いくらの賭けバスケをしています。
場合によってはちょっとした時間で
数万円が手に入るような
ハイレートの勝負でしたが、
見回りが入ってダメになったり、
将来の道が見えなかったりと
漠然とした不安を感じてもいました。
そんな中、「辻沢高校」という
名入りシャツを着た集団を見た龍也は、
懲りずに賭けバスケを挑むことに。
県大会ベスト4で偏差値もいいと
周りからは止められますが
かえって龍也は闘志を燃やしてしまい、
さらにレートを上げての勝負に
突入することになります。
実は龍也と相手のエース、
緋口亮司とは、ミニバスの全国大会で
ぶつかりあった因縁がありました。
そのためますます本気になった龍也は
ストリートならではの個人技を使い、
相手を驚かせますが、
亮司の方はチームの仲間を活かす
着実なプレイを続けていき、
結局は辻沢高校側が圧勝。
スタミナ切れもあり惨敗した
龍也たち三人は、今までの勝ち分まで
取られるという屈辱を味わいますが、
その試合を見ていた二メートル近い
巨漢のバスケットマンTJが、
龍也たちを練習に誘ってくれます。
しかし、そのために代々木まで
足を伸ばした龍也たちは、
超絶プレイに直面するのでした。
DRAGON JAMの読んでみた感想・評価
今まで色々なバスケ漫画を
愛読してきましたが、
まったく独特の面白さに痺れました。
まず特筆すべきは主人公たちの経歴です。
技術と身体能力の双方が必要な競技だけに
バスケ漫画の主人公は「天才」か「一流」が
定番となっているわけですが、
本作の主人公龍也は、中学では実績皆無、
しかも高校にも行っていないという
完全に部活の枠の外の存在です。
そしてその彼にストリートの「流儀」を
見せつけるヒーローであるTJもまた、
二メートル近い身長とパワーを持ちつつも、
小さな頃からやってきた競技バスケでは
まるで一流になれなかったという
「凡人」だったのです。
しかし彼らはそんな過去には縛られず、
高い意識とハードな練習、そして何より
バスケが好きという思いによって、
信じられないほどのカッコ良さと
意思あるスタイルをものにするのです。
だからこそ彼らの生き方や
コート上での動きには胸が熱くなりますし、
フルコートバスケとは別の「価値」を
力づくで周囲に認めさせ、
真っ直ぐに歩んでいくその姿には、
アスリート的でない強さも感じました。
ゴツゴツとパワー溢れる龍也たちを描く
迫力ある絵柄や構図は、まさしく
良い意味で少年漫画的ですし、
アコちゃんなどの女性キャラも
しっかりと可愛く、そしてカッコ良く
描かれているのもポイントです。
競技バスケの試合では
なかなかお目にかかれない
オシャレなファッションなども、
ストリートらしいリアル感があって、
非常に良く馴染んでいますね。
DRAGON JAMはこんな方におすすめな作品!必見
1990年代以降、「SLAMDUNK」や
「黒子のバスケ」、「DEAR BOYS」など、
優れた漫画作品が多数登場し、
少年たちの心を一気に鷲掴みしたのが
バスケットボールです。
野球ともサッカーとも違う面白さがあって、
放課後や休み時間に熱中した人も
多いのではないかと思います。
しかし競技としてのバスケはどうしても、
ガチガチの「組織プレイ」が必要で、
しかも人員の交代なども激しく、
チェスのような難しさがあります。
そのため本格的にやることを想像すると
かなり敷居が高いものになりますが、
本作のテーマは「ストリート」。
部活とは別に仲間が集まり、
ワイワイ自由に楽しく遊んでいた
あの雰囲気が前面に展開されています。
登場人物の経歴もまたエリートではなく、
中学を卒業してフリーター生活、
完全にバスケ一本の龍也や、
二メートル近い体格を持ちつつも、
ずっとバスケ部で二流だったTJなど
まさに完璧な「雑草」たちです。
彼らはいわゆる「ストバス」の
プロを志向しているだけに、
勝負にはこだわり自分にも
とても厳しいですが、
未熟を理由に排除したりはしません。
その間口の広さや皆出番があるための
意識の高さなどは、組織スポーツの
フルコートバスケや、他の競技とは
明らかに違うものです。
とにかく上を目指す姿を見たいけど、
堅苦しいのは嫌だという方には、
本作はまさしく打ってつけですし、
熱くてタフでカッコイイ、
ストリートの面白さを
満喫できる面でも最適です。