タイトル | NINKU―忍空― |
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原作・漫画 | 桐山光侍 |
出版社 | 集英社 |
戦国時代、空手と忍術を組み合わせた
独自の格闘技を使う「忍空」たちは、
最強の集団として恐れられていた。
しかし戦乱がなくなり疎外された
元忍空たちは暴力を振るうことで、
社会から恐れられるようになり……。
現代的な風貌と重い歴史的背景、
そしてド迫力バトルを融合させた、
後の名作ジャンプ時代漫画にも通ずる、
スタイリッシュでクールなバトル漫画です。
NINKU―忍空―のあらすじ紹介
長い戦乱の時代を経て、ようやく平和な
世の中に至りつつあるものの、
各地では悪者たちが暴れていました。
中でも忍者と空手を合わせた格闘技、
「忍空」を使う集団の力は圧倒的で、
中には盗賊のような非道を
平気で行う集団もありました。
そんな中、まだ少年ながらも、
忍空の最上級、干支忍の一人で、
子忍隊長の風助は、
行く先々で忍空崩れや
忍空をほのめかす不良たちを
撃退し続けていました。
しかしある時、元平隊員でありながら
強烈なほどの実力を持つ
にやけた敵と対峙することに。
その相手は、同じ干支忍で友人である
藍?が倒しましたが、彼が属する集団、
忍空狼は、多くの戦力を残していました。
NINKU―忍空―のネタバレと今後の展開は?
五十年にも及ぶ戦国時代が終わり、
ようやくEDO幕府のもと、
平和な時代の兆しが見えた世界。
しかし平和になるということは、
戦いだけを存在意義としてきた
多くの使い手にとっては良い状況でなく、
食い詰めた力ある者たちによって
多くの弱き者が脅かされる
非道な世の中になっていました。
そんな中、少年風助は、
空腹で動けなくなったところを
朱利と結花に救われます。
風助は彼らの父親に
満腹になるほどご馳走になり、
牧場で手伝おうとしますが、
たくさんいる牛たちは、
無惨に殺されていました。
その犯人は「忍空組」の残党、
空手と忍術を合わせた技を使う
最強の先頭集団でしたが、
戦乱がなくなり盗賊となり、
暴れ回っていたのです。
残党たちは一度きりではなく
何度も朱利たちの前に現れ、
その人間離れした術を用い、
悪行を働いていきます。
一方、隣に住むおばあさんに薬を買うため
朱利たちと別れた風助は
またも山中で迷っていましたが、
結花が忍空組の残党にさらわれたと聞き、
彼らのアジトに急行していくのでした。
NINKU―忍空―の読んでみた感想・評価
初めて本作がジャンプに登場したのは
もう数十年も前のことですが
正直言って痺れたのを覚えています。
時代劇っぽい感じなのに、
何故か最先端を感じさせる
風助たちのビジュアル。
独特の「間」を感じさせつつも、
大人向けの作品であるような
深い物語と心理描写。
いずれも当時週刊少年ジャンプに
掲載されていた多くの名作とも
また違う迫力がありました。
キラ星の如く大ヒット作が並ぶ
誌面の中にあっても、
予想もできない強烈なバトルと、
ちょっとトボけた感じの風助たちの
強い存在感の印象は極めて強かったです。
後になって歴史漫画を読み始めても、
風助たちと同じようなインパクトを
味わうことはできなかったほどです。
無国籍風、現代風の世界観と時代ものの
背景を融合させていく形は「銀魂」に、
忍者バトルの熱さや深さをじっくりと描く、
大人向けとしても通用する骨格の太さは
「ナルト」シリーズにと、
後々のジャンプを代表する名作たちの
先駆けとなったような要素も多く存在し、
今でも古さを感じることもありません。
シンプルだが迷いがなく勢いのある線で
描かれた独特の世界は説得力満点、
スタイリッシュさと迫力を同居させ、
完全に独自の世界を築き上げていて、
読んでいて熱くなってしまいます。
NINKU―忍空―はこんな方におすすめな作品!必見
とかくエキサイティングに描かれがちな
戦国の世の物語ですが、
闘争は常に大量の死者を生み、
そこには悲劇が不可避ですが、
少年誌ではそこまで踏み込んだ
作品が描かれることは多くありません。
しかし、現代風の文化文明や
当時最先端のファッションなどの
野心的な要素を多数取り入れつつも、
その「悲しみ」を全面に描き出し、
深みのある戦いを描いたのが本作です。
最強の戦闘集団であるが故に
時の権力者からは逆にお払い箱となり、
力を振るう意義を失ってしまった人々、
風助たち干支忍側だけでなく、
非道を尽くしていく敵側の事情や
正義までも描いています。
その徹底ぶりはカジュアルで
柔らかな部分を前面に置きながらも
さながら本格派の時代小説のようで、
「大人向け」の作品が読みたい、
「理由」のある作品がいい方にも
非常に適した作品ではないかと思います。
いわゆるジャンプ黄金期の末期を彩る
非常に個性的な作品だった一方で、
かなりハードな描写もあるなど、
異色な存在として知られてきましたが、
今から思うと後の「ナルト」につながる
忍者ものの系譜だったとも言えます。
ギャグとシリアスとのバランスや
風助の独創的なビジュアル、
迫力満点のバトルシーンなど、
絶品とも言える数々の要素を
一気に堪能できる作品でもありますね。