タイトル | 中間管理録トネガワ |
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原作・漫画 | 萩原天晴・福本伸行・橋本智広・三好智樹 |
出版社 | 講談社 |
中間管理職も楽では無い。
日本最大規模の金融コンツェルン
帝愛グループの最高幹部。
帝愛グループ総帥・兵藤和尊の右腕、
利根川幸雄(とねがわ・ゆきお)
の苦心と苦労の幸なき物語!
勝ち組でも勝ち組ならではの苦労がある。
それはそんな中間管理職の幸なき物語である……
中間管理録トネガワあらすじ紹介
……退屈!!
誰よりも金と富を持つ、
日本金融市場最大の金融コンツェルン
帝愛グループ会長である、兵藤和尊。
その一言で彼──兵頭会長の
右腕である利根川幸雄。
その退屈を満たすが為に、
動かなければいけなかった。
全てが似非と、誰しも人間の本質が
解っていないと吐き捨てる。
全てはまがい物、
贋作と言い捨てる
兵頭会長の望みはただ一つ。
本物が見たい、と。
人間のどす黒い感情に際の際の本性。
破滅に絶望に死と、それが特等席で
見てみたいと言い放つ。
それが最大の娯楽に優越であると、
訊ねられた利根川には肯定するしかなかった。
そして決められる
絶対最高権力者からの命令。
企画しろと、
血沸き肉躍る見世物の狂宴をと。
兵頭会長の細胞を活性化させるような、
醜き醜悪なクズどもの命の取り合いである
死にゲームを企画しろと、厳命される。
逆らう事も拒否することも許されない、
暴君である兵頭会長の命令に
逆らう事の許されない。
中間管理職に位置する、
兵頭会長の右腕である利根川には、
拒否権は無い。
そして……週末もなかった。
せっかくのゴルフの予定がパァっと、
水泡に帰し、霧散してしまった利根川の、
苦悩と葛藤が始まろうとしていた……
兵頭会長の退屈を紛らわす為の
一大イベント。
クズ……返済不可能な回収不能な債務者を、
生死を賭けたゲームの駒として扱う。
兵頭会長を楽しませる
余興を計画しなければ
いけなくなったチーム利根川。
はたして彼は、兵頭会長を満足させる
余興を創り出す事が出来るのか?
中間管理録トネガワネタバレ・今後の展開
賭博黙示録カイジの主人公である
伊藤開司(いとう・かいじ)のライバル
利根川幸雄を主人公にした物語。
それが中間管理録トネガワです。
金融の帝王である
兵頭会長の退屈を満たす為。
債務者の死と生を賭けたゲームを
企画する事になった利根川。
まずは自分のチームの黒服の名前を
覚えなくてはいけない。
まさにタイトル通り
中間管理職としての利根川の姿が
密かに笑いを誘います。
カイジ作品と言えば、
敵役である帝愛グループの
手足となる社員──黒服の男達。
全員がサングラスと黒いスーツを着込んだ、
見分けにくい彼等の名前を
覚える事から始まります。
同じチームとして働く人間の名前を
覚えなくてはいけないと、
妙に真面目な利根川さん。
見分けがつかない、黒服たちの名前を
一人一人と覚えるが為に、
まずは第一回目の会議は
自己紹介から始まります。
11人の自己紹介が始まりますが……
容易にはいきません。
まず一人目である
山崎健二は、趣味がボウリング。
二人目の佐衛門三郎二朗と、
覚えにくい名前で、しかも山崎と同じに
ボウリングが趣味とかぶっています。
そして三人目。
川崎敏政の趣味は
ボウリングと、山崎と「崎」繋がりの上に、
ボウリングが趣味とかぶっていました。
容易にはいきそうにはない、
黒服達一人一人の氏名記憶。
四人目は荻野圭一趣味は
ボウリングと、ようやくに特徴的な
名前が出てきますが、利根川は天性の感で
嫌な直観を感じてしまいます。
次の五人目……彼の名前は萩尾純一
趣味は、やはりボウリングでした。
荻野ときて萩尾と来る、あまりにも
予想だに出来なかった、
名前のかぶりの連鎖。
しかも全員が、趣味がボウリングと、
見極めの難しい名前の面々達。
そんな名前を覚える事からつまずくも、
彼の苦労は始まったばかりなのです。
会長の急な来訪により、
荒れてしまう会議。
チームの不信感などを解消する為に、
慰安旅行を計画する利根川。
インフルエンザにも悩まされ、
せっかくの羽が伸ばせる出張も、
会長の機嫌の為に取り消しに。
利根川の苦労がただ哀愁を漂わせる、
そんな物語です。
中間管理録トネガワ読んでみた感想・評価
数多くの名言を残した
福本伸行氏の『賭博黙示録カイジ』
のスピンオフ作品「中間管理職トネガワ」
そのタイトル通りに、
あのカイジの最大の敵となった、
あの利根川幸雄が主人公になった作品。
「賭博黙示録カイジ」のような
ギャンブルの駆け引きや、
心理戦に疑心暗鬼などを仕掛ける
頭脳戦の緊張感はまるでありません。
あくまでも中間管理職として悩まされる、
利根川のコミカルさを描く。
それでいて福本伸行氏作品の持つ、
作品感と独特の表現の味が
ギャグとして描かれます。
真面目な雰囲気なのに、
笑いを誘ってしまう。
利根川の哀愁が
実に伝わる内容になっています。
利根川のイメージが変わってしまう程に、
この作品の利根川は、苦労が絶えない終始
中間管理職を演じる。
健康に気を使い、
また他人にも気を使う。
「賭博黙示録カイジ」では、
想像できなかった、
彼の裏の姿が存分に楽しめる。
ああ、彼はこう言う人なんだなと、好印象が持てる、
そんな上司にしたい人物だったのだと、
意外な一面が楽しめる。
彼の取り巻きである黒服達も、それぞれに
個性のあるキャラに仕上がっている等、
見どころが満載になっています。
黒服達の個性と、「賭博黙示録カイジ」では
モブの一部でしかない彼等も、彼等なりに
苦労しているのだと、思います。
兵頭会長に振り回されながらも、
上司である利根川の為に必死に頑張る
彼等の上司愛なども面白い。
また原作に登場した、利根川のライバルである
黒崎義裕。
利根川の腹心である遠藤勇次など、
彼等の物語もあります。
帝愛グループに関わる全社員も、
また憎めない人物なのだなと
愛着の持てる内容の今作。
組織の中間管理職も楽でなければ、
その部下も楽では無いと、哀愁漂う、
そんなサラリーマン達の物語。
「賭博黙示録カイジ」の合間に見るに
おススメな作品です。
福本漫画好きはもちろんギャク漫画が好きな方にも超おすすめ
この作品は「賭博黙示録カイジ」だけではなく、
福本伸行氏の作品を愛する全ての読者に
呼んでも欲しい作品であるとお勧めします。
福本伸行氏の独特とした
個性色の強い作風を活かし、
それはギャグとして演出された展開。
本来ならば主人公の敵役である筈の彼等が、
ごく普通のサラリーマンなのです。
哀愁のある人生を歩んでいるのだと
楽しませてくれる内容は、
見て必見の内容です!